新しいひざ治療導入のお知らせ(リペアニーズ) 

膝の変形などで悩む方は多くいます。当院では、標準的な治療を第一に行います。標準的な治療とは保険が適応されている治療で、①薬物治療(内服や外用剤、注射)、②リハビリ(炎症を抑える、動きを維持する、筋力をつける)、③装具(体重が悪いところにかかりにくくする足底板、膝のサポーター)、④手術、などです。  手術は誰もがしたくない治療方法です。様々な治療をしても解決しない人が、やむを得ず手術をするのが現状です。気軽に、しかも、根本的に治せれば最も良い方法です。ただ、そんなにいい治療があればすぐに行いますし、現状ではそういった方法はないと理解していただければと思います。  再生医療は夢の治療方法の一つです。ただ、現状でも完璧ではありません。今回、当院では新たな治療方法の一つとして、再生医療技術を活用したひざ治療『再生因子注入療法リペアニーズ』を導入いたしました。 採血と注射で長期的な痛み軽減を目指す、保険適用外のひざ治療です。   受診の際に、適応があるのか診察・検査します。 クリニックで採血します。 3週間ほどで投与可能な状態になります。  PRPと言われる治療方法に比べて、再生因子濃度が高濃度になります(効果が12倍という訳ではありません)。  詳しく知りたい方は、下記の公式サイトよりご確認ください。   https://my-cell.jp/knee/  

2025.02.09

グルココルチコイド誘発性骨粗しょう症について

今回は骨粗しょう症の話です。骨粗しょう症は、“軽微な力で骨折やすい状態”を指します。骨密度が低い人も骨折しやすいですが、骨密度が高くても骨折しやすい人は多くいます。実際、骨折した患者さんの多くでは、骨密度を測定しただけでは骨粗しょう症と診断できなかった人です。軽微な力で骨折した人の約8割では、骨密度は基準値(若い人の平均値の70%未満)ほど低下していなかったとも報告されています。 例えば、転倒を繰り返す人は、骨折リスクが高い状態とも考えられます。また、当院のブログで何度も述べていますが、“骨折したことがある人”は骨折リスクが高い状態です。他の病気でも言えますが、同じ人に同じことが何度も起こります。これは、恐らく病気に限ったことではないと思います。院長は忘れ物が多い人ですが、忘れ物が多い人は何度も忘れるのも、多くの方が納得されるでしょう。 骨粗しょう症に至るには、様々な要因があります。骨粗しょう症は、①体質的に骨が弱い(=原発性)、②何かの原因があって、その影響で骨が弱くなる(=二次性、あるいは続発性)に、大きく分けられます。①で最も大切なのは女性ホルモンの分泌が低下することです。言い出せば切りがないですが、女性ホルモンの分泌が減ると言っても、ここでもどうして減ったのかでさらに細分化されて、ややこしくなります。例えば、体質的に分泌が減っていく場合は原発性です。しかし、何らかの理由で、卵巣を切除せざるを得なかった場合、これにより骨粗しょう症になると二次性とも考えられます。私は、患者さんに説明する際に、不適切な部分があることを断りながら、火事に例え、以下の説明をしています:火事が生じた出火元が自宅であれば原発性、他の家が出火元で、自分の家が延焼して燃え広がれば二次性です。 二次性骨粗しょう症の代表例が、グルココルチコイド誘発性骨粗しょう症です(以前はステロイド性骨粗しょう症とよばれていました)。グルココルチコイド誘発性骨粗しょう症はGIOPと略されますので、以下はそのように記載させて頂きます。 表1を見て下さい。骨折しやすい人の特徴が並んでいます。骨密度も要因の一つで、項目に並んでいますが、多くの要因があることがわかります。 表1 骨折の危険因子 厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 骨粗鬆症(平成30年6月改定)p4,5より一部改変 運動には大腿骨骨折リスク低下効果があるとあります。これは、骨密度の増加より転倒しにくくなるという要因の方が強い気がします。多くの方が期待する、カルシウム摂取には有意な骨折抑制効果を認めないとなっています。 グルココルチコイド(ステロイド)は、様々な病気に欠かせない薬剤です。どの医師も副作用の種類は認識していますが、副作用も多岐に及びます。骨粗しょう症に関しては、グルココルチコイド少量の内服や注射使用でも、数カ月以内に骨折リスクが高まると考えられています。 骨粗しょう症は女性と男性だけでも病態は全く異なります。“骨密度が高ければ良い”と考える方、医師も多くいますが、男性や二次性骨粗しょう症は、閉経後の女性がなりやすい原発性骨粗しょう症と異なり、骨密度の重要性が低くなる傾向になります。今回話題にしているGIOPも同様で、可能であればグルココルチコイド使用開始時に、骨密度をはじめとしたした、いくつかの評価を行い、必要であればすぐに骨粗しょう症治療を始めることも大切です。 GIOPは重要な二次性骨粗しょう症ですが、診断方法や治療方法は、十分に確立されているとは言い切れません。GIOPに関しては、先日、“グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン2023”が諸先生方の努力で完成しました。ここには診断基準や治療に関して記載されていますが、まだまだ十分なエビデンスが蓄積されているわけではありません。現時点では治療薬として、エビデンス(研究がされ、効果が証明されているもの)があるものは、限られています。 現時点では成人に対しては、ビスホスホネート製剤、抗RANKL抗体、PTH1受容体作動薬などが有力な選択肢となります。その他、活性型ビタミンDやSERMと呼ばれる薬剤も選択肢になります。最近、上肢された抗スクレロスチン抗体に関しては十分なデータがない状況です。ただ、恐らく、抗スクレロスチン抗体は、原発性骨粗しょう症に対する治療成績や他剤のGIOPに対する効果を考えた時に、非常に強い効果があると予想されます。 当院では、豊富な骨粗しょう症治療経験をもとに、本邦でのガイドライン、海外でのガイドラインや研究結果を踏まえて、最適と思われる方法を提案します。GIOPは医師、患者さん泣かせの疾患の一つで、骨折のドミノが止まらない方もいます。そのため、できるだけ早期に治療介入することが大切です。お困りの方がいらっしゃいましたらご相談下さい。

2025.01.28

親子で学ぶ、人生の過ごし方について(書籍の紹介です)

院内には100冊以上の書籍があり、雑誌まで含めると毎月30冊以上は変わります。できるだけ様々なジャンルのものを置くようにしています。最近では、韓国ドラマの本、神社に関する本、美容に関する本、釣りに関する本などを置いてみました。全てのジャンルを置くことは難しく、本を選ぶのも人ですので、どうしても偏りが生じます。スマホで多くの情報が得られますが、本も良いと思います。時々はテーマを設けて、本を並べることもあるので、良ければ読んでください。 さて、ドキッとするブログのタイトルかもしれませんが、今回は一冊の本を話題に取り上げます。院長は、小学生のころは、こち亀、ドラゴンボールなどが好きで、中学生になって、それに加えて三国志やブラックジャックなどの漫画も読んでいました。高校生になった時には、項羽と劉邦という歴史漫画、戦国時代の武将の歴史漫画、あさきゆめみしという少女漫画も読みました(あさきゆめみしは源氏物語を漫画化したものです)。中学生ごろから漫画だけではなく、歴史小説を読むようになり、高校生の時には授業で習った夏目漱石のこころを読んだことをよく覚えています。授業で、作家と作品名を対応して覚えていくのは苦痛ですしたが(例えば芥川龍之介、羅生門・鼻・蜘蛛の糸など)、実際の作品を読むと、どうしてそういったことを覚える必要があるのかが多少理解できるようになります(もちろん作品自体が素晴らしいですし、その時代がどういった時代だったか、生活様式など様々なことを知ることもできます)。 例えば、芥川龍之介の蜘蛛の糸についてです。蜘蛛の糸は実際に読むとわかりますが、非常に短編です。本当に短い作品です。しかも一応、児童向けの作品です。以下が院長が解釈しているあらすじです。 地獄に落ちているカンダタが、昔に良いことをしたことがあるので、釈迦が助かるチャンスを与えました。それは、天から糸を一本垂らし、それを使って登ってきたら助かる、という算段でした。ところが、多くの罪人もその糸を使って登ろうとしました。糸が切れてしまわないか心配になったカンダタが、“この糸は俺のものだ、降りろ、降りろ”と叫びました。その途端に糸が切れてしまい、地獄に再び落ちました。 蜘蛛の糸を通して、昔から人は変わらないものだということ、中学生や高校生で学ぶ理由は、“自己中心的ではよくない”ということを勉強してもらうためだと思います。そのために教科書などに取り上げられ学習する機会があるのだと思います。 話が逸れましたが、その後の大学生の時には、歴史小説を中心に読んでいました。結構、読書が好きでした。そして、20代の頃に、新たにお金に関する本を読みました。もう20年位前ですが、橘玲(たちばな あきら)さんの本です。本屋さんで表紙を見て購入しました。その本を読んで以降、時々、橘玲さんの本を読みます。院長の印象ですが、世の中を少し斜めから見ている感じです。 最近、本屋さんに行ったときに、かわいい表紙の本を見つけました。それが橘玲さんの本と知り購入しました。表紙って大事ですね。 今回のタイトルも、~人生という「リアルなゲーム」の攻略法~、というサブタイトルがついていて、こういう言い方が、院長の好みです。20年以上前に読んだ橘玲さんの本のタイトルも調べました。“お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ“、でした。 著作権の問題があり、内容は詳細には伝えられませんが、お金、経済、社会などのシステムをわかりやすく解説しています。院長が特に興味を持ったのは、子供がどのように時間や友達について考えているのか、などの解説です(子供の時はどういう心理だったか、大人になったら忘れてしまうことが書かれています。子供の心理をどうして橘玲さんは思い出したのだろう?と院長は関心しました)。本書を子供一人で読んで理解することはないでしょうが、本書は院内にあります。もし、よろしければ手に取って頂き、人生が豊かになれば幸いです。

2025.01.18

院長のインタビュー記事が掲載されます

以前にお知らせしたことがありますが、院長のインタビュー記事が、婦人公論2月号に掲載されます。 記事では骨粗しょう症について解説しています。雑誌などでは、不特定の方が読まれるために、一定のルールがあります(薬剤の効果などを詳しく話せないなど)。 婦人公論の記事を、そのまま掲載させて頂くことは、諸般の事情が難しいので、一部のみを紹介します。間もなく発売になります。院内に婦人公論を置きますので良ければ読んで下さい。また、個々の方で骨粗しょう症の状態は異なりますので、疑問があれば質問していただいたら幸いです。 婦人公論のインタビュー記事の一部です。

2025.01.12

明けましておめでとうございます

新年、おめでとうございます。本年も皆様にとって良い年になることを祈っています。 当然ですが、世の中は絶えず変化しています。それに合わせて医療も変化しています。最近ではデジタル化の推進が効率的な医療、医療費削減などの観点から推進されています。マイナンバーカードもその一つですし、今後、紙のカルテはなくなる方向です。今まで紙カルテを利用されていた医療機関に置かれては、単純に電子カルテを導入するだけでは済まずに、紙カルテのデータを残しながら(時々は参考にしながら)診療に当たるため、大変不効率になることが想定されます。当院では画像は、院内にサーバーがあり対応しています。フィルムで焼いていた時に比べて素早く取り出せる、長さなどが測定しやすいメリットがありますが、停電になったり、サーバーが大規模に破損すると、忽ち(たちまち)、画像が見れなくなったり最悪、消失します。最近ではクラウド型が普及しつつありますが、ネット回線の破損やクラウド側の問題が生じると、診療に支障が出ます。完全なシステムはないですし、もしあれば、皆がそれに移動しますので、医療機関に据え置きサーバータイプとクラウドタイプが混在している現状を考えると一長一短なのでしょう。 最近、院長である私自身に体調不良があり医療機関にかかることがありました。その医療機関さんはネットで予約が取れるシステムが導入されていました。ネットでの予約が可能で便利ですが、予約サイトはオープンすると1分以内に予約いっぱいになるそうです。院長が知る限りは、ネット予約できる医療機関のいくつかでは類似した状況になっているそうです(予約サイトの現状について知っているのは数カ所ですが、全てで同じ状態と伺いました)。予約サイトを導入する医療機関が、そもそも大変な混雑の医療機関だからかもしれませんので、全ての医療機関で同様かどうかはわかりません。気になって1分以内に予約サイトが埋まる医療機関さんの口コミをいくつか見ると、“予約が取れない”、という書き込みがいく複数ありました。逆に当院のように来院される方を受け入れる医療機関では、“待ち時間が長い”という口コミになる傾向にあります。やはり一長一短ですね(予約サイトを導入している医療機関さんも、直接受診されている患者さんを診察している所は多くあります)。 今年は、新たな超音波機器(エコーの導入)、いくつかの医療機器の購入を検討しています。また、夏には三重県で学会が開催されます。そちらではセミナーの講師を担当する予定となっています。また、新型コロナウイルスの流行は続いていますが、徐々に会場を設けた勉強会が増えてきており、主に骨粗しょう症分野での勉強会の講師で県外に出かける予定です。多施設共同で研究も行っており、医療の発展に寄与できればと思います。 現在、入り口に展示してある作品です。作品名;厳冬    作者;南川 朋宣先生

2025.01.02