MRI室用の車いす導入しました

今週は気温がぐっと下がりましたね。昼間の気温はまずまず上がりますが、朝、夜は寒い位です。来週は少し気温が上昇するようですが、最低気温は下がり、冬に近づいていることを感じます。 さて、当院でも、MRI室用の車いすを導入しました。MRIは磁気と電波を利用して体内の断層画像を撮影する検査装置です。強力な磁場が発生するために、MRI室は金属の持ち込みはできませんし、金属を持ち込むとMRI機器に協力に吸い寄せられる場合があり、大変危険です。院長は見たことはないですが、MRI非対応のストレッチャーで患者さんを運んでしまい、ストレッチャーが強力な磁気に引き寄せられMRI機器に衝突した、掃除機が衝突したという事例を聞いたことがあります。その間に、人がいれば死亡事故にもなりかねない状況です。そのため、MRI室用のストレッチャーや車いすが発売されています。 放射線技師との面談で、患者さんをより安全に移動するために購入の要望がありました。院長である私は、恥ずかしながら、そのようなニーズがあることを知らなかったのですが、早速購入しました。 今後、患者さんをより安全に、そして今までは数名のスタッフがお手伝いして患者さんを移動していたこともあったのですが、より少数でできるように(スタッフの負担も減るように)なると思います。ゆっくりですが、クリニックも変化していきます。また何かの変化・改善があればこちらでも紹介させていただきます。 見た目は大して変わりません。当院では、基本的に、MRI室内で保管されています。

2025.10.25

床ワックス

朝夕肌寒い時期になりましたね。当院は、2018年開院しました。院内をできるだけきれいに、と心がけていますが、様々な劣化があります。駐車場や壁のひび割れ(温度でどうしても膨張と縮小してしまします)、日光による日焼け、経年劣化などがあります。開院当初に、床の保護のためにワックスをかけることになりました。日々の清掃に加え、3-4ヵ月に1回、専門業者さんにお願いして床清掃を行ってきました。 先日、床に何かをこぼした方がいらっしゃいました。その部分の床の変色したために、専門業者に対応を相談したところワックスの塗り直しを提案されました(美白みたいですね)。 写真中央部分で、床が白色になっています(照明が床に反射したために、画像を加工しています) 今回、一部の部屋のワックスはがしをして頂きました。再度のワックス施工は後日になります。また、他の場所も、適宜同様の処置を行っていきます。 ワックスをはがした場所(施行済)とワックスをはがしていない場所(未施行)の違いです。 現在、診察室の床ワックスがはがれた状態になっています。開院時の床の白さに戻った感じで、ゆっくり色が変わっていたことを感じました。 季節同様に移ろいゆくものですので、クリニックのいたる所に変化・劣化があります。簡単にできることは、適宜行ってきたいですし、壁紙の張替えなどは時間を要するものですので、まとまった休みを取らせていただき行いたいと思います。 最後、リハビリ室の掃除機を交換しました。今までダイソン社の掃除機を使用していましたが、シャーク社の掃除機を購入してみました。今までと異なるメーカーで、お互いの違いを見てみます。

2025.10.19

論文が発表されるまで

今回は、学術的なことをテーマに書かせていただきます。院長は学術的な活動にも興味があり、過去に多くの学会発表や論文発表をしました。論文に関しては開業して1年目に英語論文を発表し、その後は、和文論文を年に1本程度発表しています。論文に馴染みがない方もいます。医師としても重要な研究に関して、今回は、論文が世の中に発表されるまでについて紹介します。 論文は研究結果を発表する場の一つです。研究は料理などと一緒で、準備が大切です。どういう論文を書くかを急に決める訳ではなく、普段の診療から様々なことを考え、発表できるための準備をしています。例として、開業して1年目に論文したことについて述べます。 この論文では、ある患者さんについて、その患者さんの経過が、世界中の骨粗しょう症治療に極めて大切なことが生じていることに気づくきました。たった一人の患者さんですが、その方に起こった経過が、世の中の診療にどのような影響を与えるに気づき、それを報告しました。一人の患者さんの経過を報告することを一例報告と言います。通常、一例の報告では、普遍的なことが言いにくいため、エビデンスレベル(臨床研究の信頼性)が低いとされています。しかし、前述したように、その患者さんの経過には骨粗しょう症治療に重要な影響を与えることが含まれていることに気づいたために論文にしました。私が指摘した通り、この方の経過は、世界中の骨粗しょう症治療に影響を与えました(本邦の顎骨壊死のポジションペーパーにも掲載されています)。大柄な言い方ですが、私が勉強していなければ、その方の経過がどれくらい大切かにすら気づかなかったと思います。本研究結果は、有名な骨粗しょう症の専門誌に掲載されました。 このように、論文が成立するためには、論文を書く人に知識がある、そして調べるために準備する(例えば、骨粗しょう症の論文作成では体重なども関係することが多々ありますが、どうしても普段の診療では漏れていることが多く、そういったことを把握しておくなど)、発表するために努力するなど多段階の準備が必要です。そのため、今まで論文を書いたことがない人が、有名雑誌に突然掲載されることはほぼないです。 次に、実際にテーマを決めて論文を作成します。テーマも、骨粗しょう症治療においてどういったことがわかっていて、どういったことがわかっていないか把握していないと論文が書けないです。そのためには勉強が必要で、そういった勉強をしているから専門家になるわけです。多くの分野で専門家になることは、人の時間が限られている以上難しいと思います。 テーマが決まれば、論文は英語で書くか日本語で書くかを考えます。英語論文は世界中に読者がいるために、多くの人に読んでいただけますが、やはり外国語なので面倒です。また、審査(査読)が厳しく、掲載されるためにはオーデションのように審査に合格しなければなりません。一流紙になればなるほど、投稿者が多く、そのクオリティーも高いので審査レベル(オーディションのレベル)が高いと言えます。 さて、現在作成中の論文があります。現在の論文では、ある薬剤がどういう人に効きやすいか、治療開始時の因子を検討しています。普段の治療の中で感じる疑問を調べました。データをまとめる作業に時間がかかりますが、現在している研究は、より確かな情報を届けるために、多くの施設からのデータを頂き、それを私が主となり解析しています。それぞれの施設では、それ以前に多くの施設内の審査などが行われています。私が論文作成を開始したのが6月ごろです。データの取りまとめや論文執筆に時間がかかっていますが、ようやく形が出来上がり、現在は、論文を英語の専門家に見てもらい添削を受けています(日本人が書く論文ですので文法や英語の使い方が間違っていないか確認してもらっています)。こういったことをする専門の業者さんがいます。その後、共同著者の先生方に、最終確認をしていただき、いよいよ投稿になります。 論文を掲載する雑誌にはおおよその格付けがあります。できるだけ、まず格付けの高い雑誌に投稿します。それは、読者が多く、論文が多くの人に読まれることや、雑誌にはインパクトファクターという点数があり、大学などで活動する先生には、特にその点数が大切だからです。ただ、やみくもに格付けの高い雑誌に投稿することが良いわけではありません。雑誌ごとに投稿規定があり、Reject(不採用)になると、その都度、次の雑誌の投稿規定に準じて論文を再調整する必要があります(結構面倒です)。また、投稿するたびに雑誌社の時間を頂きますし、雑誌社とのやり取りにも時間がかかります。論文は鮮度もありますので、自身の論文がAccept(採用)されそうな雑誌の中で、格付けの高い雑誌に初回投稿することになります。今回の論文は、共著の先生方とも相談する必要がありますが、今回の論文は準備ができれば、Osteoporosis Internationalに初回投稿しようと考えています。Osteoporosis Internationalは骨粗しょう症を扱う専門誌の最高峰の雑誌の一つです。なかなか厳しいかなと思いながらも、採用されるという信念がないと駄目なので、結果を信じて投稿してみる予定です。投稿は10月中になると思います。 雑誌に掲載されるまでには、長い道のりがあります。まず、雑誌の偉い方が簡単に読んで、査読(本格的な審査)に回るか決定します。最初の関門で不採用になることもしばしばです。その後、複数の査読者に回り、論文の評価を受けます。それぞれの査読者が自分の意見を添えて、雑誌の偉い方に返事を返し、それらの意見をみて雑誌に採用される見込みがあるか決まります。採用される見込みがあれば、各査読者からの意見を添えて、投稿者のもとに返事がきます。各査読者からの意見はそれぞれ5-15個程度あります。査読者の意見はより良い論文にするための貴重な意見ですので、それに一つ一つ丁寧に返答し、同意できるところは修正し、同じ雑誌に再投稿します。これを2-3回繰り返し、上手くいくと採用になります。査読される先生の決定、査読される先生が査読に要する時間、質問に対して再度データ解析をし直す必要があることもあり、採用されるとしても最短でも2カ月程度はかかることが多いです。途中までやり取りをして不採用になると、次の投稿に至るのに時間がかかります。3-4雑誌の投稿をして採用になることなどざらです。そうすると、掲載が決まるまでに半年以上かかることもあります。 今回の論文は2-3カ月の旅になるかもしれないですし、半年経過してもどの雑誌にも採用されていないかもしれないです。無事採用されると、採用決定後、数カ月以内に雑誌に掲載されます。そして3年間位は特に読まれる頻度が多いです。 論文作成の面白みの一つは、論文を書く過程で多くの論文を読み勉強になることです。そして、自身の論文が、自分が思った以上に評価されない場合もあれば、たまにですが、思ったより評価される場合があります。また、論文により、世界がより良い方向に変わればと思うとワクワクします。 また、結果がわかれば報告しますね。

2025.09.15

エコーをリハビリ室でも本格導入しました

こんにちは。医療でも様々な変化・進歩があります。最近はエコーが整形外科分野でも使用され、当院でも導入しています。今まで複数回、エコーの話題をしましたが、リハビリ室でもエコーがあった方が便利というスタッフの声もあり、思い切って購入しました。当院では、持ち運びが便利なポケット型2台、本格的なエコー2台の計4台体制となりました。単純レントゲン、MRI、エコー、そして当院にはないCTと画像検査はいくつかあります、それぞれの特徴があるために、どれが良いというのは決められません(サッカー、野球、マラソンどれが最も面白いスポーツと聞かれても人それぞれであるように、機械には得意不得意な分野がありどれが一番というものはありません)。 エコーでは動画撮影ができる、機械が移動でき放射線も出ないために気軽に検査ができるなど、エコーならではの特徴がります。今後は、スタッフとエコー技術の習得もしていきたいと思います。 導入したエコーです。余談ですが、スマホで撮影すると画面にどうしても自分の姿が写り込みますよね。Chat GPTに“消して”、とお願いして写り込まない画像に修正してもらいました。今後は、様々な場面で(宿題、レポート、作品など)、AI技術を使用した作品かどうか、どの程度使用したのかを表記するのが当たり前の時代になるかもしれないですね。

2025.09.08

骨粗しょう症のエキスパート向けの勉強会に参加しました

こんにちは。 お盆になりますが、院長である私は骨粗しょう症のエキスパート向けの勉強会に参加しました。院長は、年に数回、東京や大阪で開催される勉強会に参加します。今回の勉強会が開催された理由の一つは、骨粗鬆症のガイドラインが改訂になったことです。今回、10年ぶりに、“骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版” が改訂されました。私が骨粗しょう症に興味を持ちだして、3代目のガイドラインになります。 ガイドラインは、その時点でわかっていることに関して、様々な角度から記載されています。そして、標準的な・普遍性の高い・妥当な内容が記載されています。3代目のガイドラインですが、特に今回は10年という期間があり、内容も様々な変更点がありました。 勉強会でも、作成に関わった先生が発表・解説、重要な変更点について取り上げられていました。そのうちの一つは、治療薬選択に関わるものです。この10年で、薬物治療に劇的な進歩がありました。特に、抗スクレロスチン製剤という新たな作用機序の薬剤の登場、テリパラチド週2製剤、アバロパラチドという従来の薬に類似しているもののより治療しやすい、あるいは、効果が高まっている可能性がある薬剤の登場です。これらは注射製剤です。つまり注射製剤が骨粗しょう症治療を更に発展させてきました。それに伴い、骨粗しょう症患者さんを、重症と非重症と考える考え方が強くなってきていると思います(院長の感想です)。注射製剤は使用期限が決められているものが多く、それに伴い、治療薬をどういう順番で使用するのがより効果的なのかと言うことが、特にこの数年研究されてきています。本邦からも世界の骨粗しょう症治療に影響を与える重要な研究成果が多く報告されています。私自身はそういった論文作成に関係していませんが、知り合いの先生が素晴らしい論文を発表しているのを見ると、非常にうれしくなります。またそういった研究を私もしていけたらと思います。 最近、”Imminent fracture risk(差し迫った骨折リスク)”、“Anabolic first(骨形成促進剤をまず使用すると解釈します)”という言葉が、骨粗しょう症治療において流行しています。 まず、“Anabolic first(骨形成促進剤をまず使用すると解釈します)”について触れたいと思います。上述した、“治療薬をどういう順番で使用するのがより効果的なのか”という研究の結果を受けて重要な言葉になっています。 これは、治療薬の使用順番が、どのような違いになるのかを示した論文のデータです。水色と黄色は2つのお薬の使う順番が変わっただけです。2剤の使用期間はともに24ヵ月で、前治療期間は48ヵ月になります。最終的な骨密度の増加効果が、水色は18.3%、黄色は14.0%になっています。特に黄色は、24ヵ月での薬剤切り替え直後に骨密度が一過性に低下するという時期があります。この試験はDATA switch試験と呼ばれ、発表された当時、骨粗しょう症の専門の先生にとっては衝撃的なデータで、私は“やっぱりこうなるのね“と思いました。DATA switch試験は骨粗しょう症治療に極めて重要な情報をもたらした、いわば金字塔のような試験です。その後も、類似した試験がいくつかあり(DATA switch試験ほど厳格に管理された試験はなかなか難しく、多くは臨床での観察試験が中心です)、さらには、2剤を繋いで使用して3年、あるいは4年間でどれ位、骨密度の増加が見込まれるかに関するデータもいくつか報告されてきています。これは最近の論文の流行りのテーマの一つです。 これらの研究結果を踏まえて、骨形成促進剤と言われるグループのお薬を、重症者にはまず使用した方が良いという考えが定着しつつあります(専門医では定着しているといった方が良いかもしれません)。こういった考えが、“Anabolic first”です。参加した勉強会でも、この点が盛んに発表されていました。 これは昨年、米国骨代謝学会と米国骨粗鬆症財団から発表されたポジションステートメントと呼ばれるものです。この論文、この図は世界中の骨粗しょう症治療の指針になっています。そして、今回の“骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版”にも登場しています。 字が細かくて読みにくいですが、骨粗しょう症患者さんを3つのグループに分けています。①骨折したことがない人、②2年以上前の骨折者、③2年以内の骨折者や2つ以上の骨折歴のある人です。特に③は重症で、”Imminent fracture risk(差し迫った骨折リスク)”と定義しています。また、②に関しても、骨折部位が、股関節・骨盤・背骨の骨折であれば、重症と評価して骨形成促進薬を第1選択としています。 本ブログでも、骨密度も大切ですが、それ以上に骨折したことがある、骨折回数が大切と繰り返し説明しましたが、この図でも同様の内容になると思います。骨密度も大切とされていますが、①のグループの人、あるいは②のグループの人の一部で、評価に登場します(③のグループの人は骨密度の記載すら出てこないです)。この図の通りには、日本の保険診療の都合もありできませんが、当院では、こういうことも踏まえて治療に当たってきました。 こういった図が作られたり、“骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版” にもすぐに引用されるのには、明確な理由があり、それは、この10年間でいくつかの治療薬が登場し、それに対して研究が行われ、明確な根拠が出来ているからです。今回のブログでは、この辺で終了しますが、日々、治診断・治療は進歩しています。全ての分野に詳しくなることなど、とてもできませんが、少なくとも骨粗しょう症分野の専門家として、皆様に最善の治療が提供できるように努めていきます。よろしくお願いします。

2025.08.31
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