院長のインタビュー記事が掲載されます

以前にお知らせしたことがありますが、院長のインタビュー記事が、婦人公論2月号に掲載されます。 記事では骨粗しょう症について解説しています。雑誌などでは、不特定の方が読まれるために、一定のルールがあります(薬剤の効果などを詳しく話せないなど)。 婦人公論の記事を、そのまま掲載させて頂くことは、諸般の事情が難しいので、一部のみを紹介します。間もなく発売になります。院内に婦人公論を置きますので良ければ読んで下さい。また、個々の方で骨粗しょう症の状態は異なりますので、疑問があれば質問していただいたら幸いです。 婦人公論のインタビュー記事の一部です。

2025.01.12

明けましておめでとうございます

新年、おめでとうございます。本年も皆様にとって良い年になることを祈っています。 当然ですが、世の中は絶えず変化しています。それに合わせて医療も変化しています。最近ではデジタル化の推進が効率的な医療、医療費削減などの観点から推進されています。マイナンバーカードもその一つですし、今後、紙のカルテはなくなる方向です。今まで紙カルテを利用されていた医療機関に置かれては、単純に電子カルテを導入するだけでは済まずに、紙カルテのデータを残しながら(時々は参考にしながら)診療に当たるため、大変不効率になることが想定されます。当院では画像は、院内にサーバーがあり対応しています。フィルムで焼いていた時に比べて素早く取り出せる、長さなどが測定しやすいメリットがありますが、停電になったり、サーバーが大規模に破損すると、忽ち(たちまち)、画像が見れなくなったり最悪、消失します。最近ではクラウド型が普及しつつありますが、ネット回線の破損やクラウド側の問題が生じると、診療に支障が出ます。完全なシステムはないですし、もしあれば、皆がそれに移動しますので、医療機関に据え置きサーバータイプとクラウドタイプが混在している現状を考えると一長一短なのでしょう。 最近、院長である私自身に体調不良があり医療機関にかかることがありました。その医療機関さんはネットで予約が取れるシステムが導入されていました。ネットでの予約が可能で便利ですが、予約サイトはオープンすると1分以内に予約いっぱいになるそうです。院長が知る限りは、ネット予約できる医療機関のいくつかでは類似した状況になっているそうです(予約サイトの現状について知っているのは数カ所ですが、全てで同じ状態と伺いました)。予約サイトを導入する医療機関が、そもそも大変な混雑の医療機関だからかもしれませんので、全ての医療機関で同様かどうかはわかりません。気になって1分以内に予約サイトが埋まる医療機関さんの口コミをいくつか見ると、“予約が取れない”、という書き込みがいく複数ありました。逆に当院のように来院される方を受け入れる医療機関では、“待ち時間が長い”という口コミになる傾向にあります。やはり一長一短ですね(予約サイトを導入している医療機関さんも、直接受診されている患者さんを診察している所は多くあります)。 今年は、新たな超音波機器(エコーの導入)、いくつかの医療機器の購入を検討しています。また、夏には三重県で学会が開催されます。そちらではセミナーの講師を担当する予定となっています。また、新型コロナウイルスの流行は続いていますが、徐々に会場を設けた勉強会が増えてきており、主に骨粗しょう症分野での勉強会の講師で県外に出かける予定です。多施設共同で研究も行っており、医療の発展に寄与できればと思います。 現在、入り口に展示してある作品です。作品名;厳冬    作者;南川 朋宣先生

2025.01.02

本年も終わりますね

本年の残りわずかとなりました。毎年いろいろなことが起こり、平穏な年はないと思います。年末にかけてインフルエンザやコロナなど流行性の感染症が猛威を振るっています。感染症が絶滅できることはないでしょうが、少しでも収まればと思います。 医療を取り巻く環境も時代と共に変わっていきます。最近では“直美”という言葉がマスメディなどで報道されています。医学部を卒業した後にある2年間の初期研修を終えてすぐ、一般の医療機関での研鑽を積まないまま美容医療に流れることを指すそうです。“そして直美“の医師が増加していて、医療界全体でも大きな問題になっているそうです。 医師になり、どの科を専門にするかは自由です。近年、救急や外科、産婦人科などの科が不人気になっているそうで、“直美“の医師が増加することで、担い手が少なくなるためでしょう。報道によれば、厚生労働省は制限をかける方向で調整しているそうです。コスパやタイパが悪い分野が敬遠されているのかもしれません。外科医の減少により、今までは多くの病院で受けられていた手術が、一部の病院のみで可能になるような集約化が図られると思います。医師を育成するために多大な税金などが支払われているという事実がある反面、職業選択に制限がかかる可能性もあるため難しい問題ですね。 その他、薬剤に関する問題も多くあります。私が医師になったころには、薬剤の供給が不足するということはあまりなかったように思います。ところが、最近は、何らかの薬剤を発注しても届かない状況が慢性化しています。現在なら、痛み止めの注射が数カ月不足しています。そのため、使用する薬剤を変更したりしています。 また、抗がん剤など、海外ではすでに使用できる治療薬が日本では使用できる見込みが立たない(製薬メーカーが発売する予定がない)薬剤も多くあります。これを“ドラッグ・ロス”と言います。日本では、薬価制度という制度があります。薬価制度は、国の医療保険で使える医薬品の価格を決める仕組みのことです。社会常識では、商品を販売する価格は生産者が決定に多く関わります。ところが薬価制度は独特で、国が様々なことを検討して、製薬メーカーに販売価格を指定します。ただ、この価格は、概ね海外で同じ製品を販売した価格より安価です。例えば、骨粗しょう症治療薬の中で、高額な重症骨粗しょう症向けの製剤は日本ではざっくり3-5万円と数万円程度の販売価格ですが、海外では十数万円~、と桁が一つ違います。さらに本邦では毎年の薬価改定があり、頻繁に価格を見直すことになりますので(値段が据え置きのことはありますが、価格は毎年下がる傾向にあります)、開発や販売にかかるコストを考慮した時に、どうしても販売しにくい現状があります。そのため、日本から有力な薬剤が作られることは以前よりずいぶん減ったそうです。しかし、そのために、日本では安価にお薬が使用できる、そして、国民皆保険制度が持続できるといるメリットもあります。 さて、今年も多くの患者さんに来院して頂き治療してきました。また、今までに増して様々な分野のエキスパートの先生に外来に来て頂きました。月に10回程度は応援医師に来て頂きました。また、当院から紹介させて頂き患者さんも例年通り多くいらっしゃり、1000通以上の紹介状を作成しました。紹介患者さんが多いことは、当院の治療水準が高いことを表す指標と考えています。外傷や腱鞘炎など、日常診療で多く見られる疾患だけではなく、脊椎、人工関節、腱板断裂、スポーツ疾患も多くの手術患者さんを手術目的に紹介しております。最近では、小児の側弯をある病院に紹介させて頂きました。小児側弯の手術症例は少ないですがいらっしゃいます。残念ながら、医師が手術したほうが良いことに気づかないことが多々あり、側弯がさらに進行してしまうこともあります。紹介先からも、“いつも、小児側弯症を紹介して頂きありがとうございます”、と連絡を頂き、改めて、紹介させて頂き良かったと感じました。 院長である私が専門としている骨粗しょう症も、例年通り治療してきました。一生懸命説明しているつもりですが、治療の必要性を感じない人、治療が面倒になる人など、これらは世界的に問題とされていることですが、なかなか解決策が見つからずにいます。重症骨粗しょう症患者さんには、自己注射製剤や月1回の注射薬を勧めています。これらの製剤は年間200人ほど導入しています。クリニックでは全国有数レベルです。週2回の自己注射製剤の導入件数は、上市以来350人を超えました。また、最近発売された毎日の自己注射製剤は50例を超える方に使用されています。国内第三相試験(発売前の大規模試験)の結果を踏まえて、副作用の判断や治療効果判定をしていきますが、概ね、第三相試験の結果に似た状況と認識しています。 重症骨粗しょう症の方には、重症者向けの薬剤の使用を勧めています。ただ、それらの治療薬を選択されない患者さんも多くいます(厳しいですが、確率的にはこういった人は、多く骨折します)。自己注射の場合は嫌という理由が多く、他剤では高額になるという事が理由になります。また、前述したように治療の必要性を感じない方もいます。当院では、本邦を中心に様々な国のガイドラインや論文に沿って治療しています。内服の対象者である軽症の骨粗しょう症患者さんは注射製剤の患者さんの約3-4倍います。内服の適応患者さんには内服薬での治療を勧めています。 今年も残り少なくなりました。風も強くなってきました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

2024.12.31

クリニック入り口の絵が一時的に変わっています

クリニックの風除室には、南川朋宣先生の日本画を展示しています。当院の風除室に展示している作品は、季節をテーマに4部作になっており、季節に応じて作品を交換してます。そして、今回、当院に飾ってある作品を、南川先生の個展に出展することになりました。その代わりといっては何ですが、南川先生の出展しない絵を展示しています。現在、展示している作品は富士山をテーマにしていて、作品名は“金富士”です。 さて、南川先生の個展は、11/30(土)~12/9(月)に菰野町にあるパラミタミュージアムで開催されます。今回の個展は、“春夏秋冬”がテーマです。当院に展示している、4部作も、季節をテーマにしていますので、その作品が展示されることは、当院にとっても嬉しいことです。南川先生の作品の素晴らしさが、多くの人に伝わればと思います。 話が変わりますが、 多くの方が、“花鳥風月”や“雪月花”という言葉を知っていると思います。特に“花鳥風月”は、某社の蚊取り線香のCMで出てくる言葉ですね。ところで、“花鳥風月”や“雪月花”という言葉の意味は知っていますか? 院長である私は、高校生の時に、社会科は倫理政経という分野を勉強しました。倫理の分野では、様々な人や時代の思想を学んだり、どのように思想が形成されたのかに関する背景などを習います。例えば“花鳥風月”は、「雅なもの。移ろい行くもの。」と習いました。花・鳥・風・月、ただ単語を並べただけで、並べ方に深い意味はなく、それぞれが、“移ろい行く雅なもの”を表現しています。もっと言えば、物のはかなさを表現しています。 “平家物語”という作品の名前は知っている方が多いと思います。平家物語は、平家の栄華と没落を描いた物語です。平家の没落は、鎌倉時代の前、平安時代の末期です。平家物語の成立は、鎌倉時代初期と言われています。平家物語の冒頭は、「祇園精舎」という項で、有名な出だしだと思います。 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。 驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。 猛き者も遂にはほろびぬ、偏ひとへに風の前の塵におなじ。 『平家物語』第一巻「祇園精舎」より 祇園精舍の鐘の音には、諸行無常すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。沙羅双樹の花の色は、どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。世に栄え得意になっている者も、その栄えはずっとは続かず、春の夜の夢のようである。勢い盛んではげしい者も、結局は滅び去り、まるで風に吹き飛ばされる塵と同じようである。 Wikibooksより 「祇園精舎」では、滅びるという負の言葉も使用されていますが、言わんとすることは、“花鳥風月”や“雪月花”に類似しています。 当院では4部作全てを展示することはありません。もしよろしければ、個展で4部作を見て頂けたらと思います。その際に、春夏秋冬を通して、「雅なもの。移ろい行くもの。」を感じて頂ければと思います。

2024.11.24

雑誌の取材を受けました

11月の中旬ですが、まだまだ日中は暖かいですね。今週でいえば、少し暑い日中もあったかと思います。ただ、日の出ている時間は短くなり、5時には暗くなってきています。40日もすれば冬至になりますね。冬至は一年で太陽が最も南よりから出る日です。そのため、南中高度は一年で最も低く、日の出ている時間も一年で最も短い日になります。冬至の日、日中の時間は10時間弱になるそうです。  さて、本日は、雑誌の取材がありました。婦人向けの雑誌です。骨粗しょう症をテーマに1時間ほど、取材がありました。内容は、普段の診療でお話ししていることが中心です。インタビュワーの方も知識が豊富で驚きました。ただ、骨粗しょう症という病気の定義は、“骨が折れやすい状態”であること、骨粗しょう症と診断する方法は2つあり、一つが“軽微な外力で骨折したことがある人”、もう一つが“骨密度が低い人”、という説明をさせて頂いた中で、“軽微な外力で骨折したことがある人”が骨粗しょう症と考えられることが新鮮だったそうです。“骨粗しょう症=骨密度が低い“と考える人は多くいます。その評価方法も大切ですが、”若者なら骨折しないような外力で骨折してしまうこと=骨粗しょう症“、とも考えられています。 手首の骨折を例に挙げ解説します(インタビュー中にも説明しました)。サッカー観戦をしている時に、サッカー選手が、頻回に転倒し手をつきますが、骨折する人は皆無と言っていいほどいません。もちろん絶対いないというのは言い過ぎですが、骨折する確率は極めて低いです。一方、外来受診される患者さん、その大半が女性です。転倒して骨折します。そして、骨折者に骨粗しょう症と考えられることを説明する、大半の方が、“すごい勢いで転倒した”と話されます。手首の骨折の多くが45~75歳くらいの女性であること、先に出したサッカー選手の話をして、手首の骨折は骨が弱いために骨折したことの理解をして頂こうと思うですが、健康に自信がある方ほど、“自分はすごい勢いだったから骨折した”、と話されます。手首の骨折は骨粗しょう症が関係した骨折で代表的で(それだから本ブログで何度も取り上げているんですね)、しかも、初めての骨折に多い部位です(海外では、“骨粗しょう症のお知らせ骨折”、とも言われます)。 掲載は来年になる予定です。掲載が実現すれば、改めて報告させて頂きます。 待合室にて雑誌の取材を受けている様子

2024.11.14
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