テーマを決めて書籍を集めました(投資編)

暑い日が続きますね。さて、当院では、5種類の新聞と毎月20~30種類の書籍を購入しています。書籍の多くは、週刊誌や月刊誌などの定期刊行物です。それ以外の書籍もあります。書籍に関しては、新たに購入した書籍を並べる時に、それまであったものと取り替えています。また、書庫にしまった古い書籍も、再び並べることもして、ローテーションしています。院内には60-70種類の書籍を陳列し、書籍の内容や配置場所(待合やリハビリ室など)を変更しながら準備しています。書籍の準備には手間などがかかりますが、少しでも待ち時間を快適に過ごしていただくために準備しています。興味は様々ですから、いろいろなジャンルのものを準備しています。 時々、患者さんから、“書籍が充実していてうれしい”、という言葉をいただきます。先日、ある患者さんから、“投資や趣味に関する本”について話がありました。たまたま並べてあった投資に関する本を読んでいただいていました。 話が変わりますが、皆さんは、書籍をどこで購入されますか?20年前は本屋さんだったと思いますが、現在はネットが、その割合を増やしていると思います。院長である私も、本屋さんで購入する機会は少なくなりました。ただ、街の本屋さんが減っていくのは時代の流れとは言え、大きな損失ですので、本屋さんで購入する機会も持つようにしています。本屋さんに行く楽しみの一つは、ネットでは見れないほど多くの書籍を見れることです。ネットで本を選ぶときはオンデマンドに近い方式になり、欲しい本を入力する、あるいはテーマを入力して選びます。一方、本屋さんは多くの本が並んでいて、目に飛び込んできた本を手に取ることもしばしばです。さて、本屋に入ってすぐに目に付く、一番売れ筋または新刊本を置いてある場所を“平台”と言うそうです。それ以外にも、表紙がしっかり見えるように、配置する場所もあります(“面陳”)。本屋さんには、商品を手に取りたくなる工夫がいっぱいあり、ネットショッピングとは異なる楽しさや便利さがあります。  「ある患者さんから、“投資や趣味に関する本”について話がありました。」と先ほど述べましたが、ふと、何かのテーマを決めて、書籍を配置したら楽しいのではないかと考えました。少し前ですが本年3月4日に、日経平均株価が初めて4万円を突破しました。実感のない株価と言いながらも、新NISAなどの投資は活発になっていることが報道されています。そこで、今回、新たに書籍を買い足して、“投資”をテーマとしたに“平台”に似せたコーナーを作ってみました。 テレビなどがあり“平台”での準備は難しいので、まとめて準備しました。*なお、投資は自己責任ですので、よく考えお願いします。  今回の本に関しては、院長自身で読んだものもありますが、読んでいないものが多くあります(思いついて準備したので申し訳ありません)。投資についても素人です。話題になる“新NISA”について少し説明します。間違いがないように書きますが、素人の書いているものです。本格的に投資をする際には、自身でルールの確認をお願いします。  ご存知の通り、日本は高齢化が一段と進み、若者が高齢者を支える年金制度などは、現行制度のままでは持続困難となりつつあり、政府は、“投資”をして将来に備える、という選択肢を提示しました。その一つがNISAや新NISAです。現在は新NISAが主になっています。新NISAでは株や投資信託が大切になります。新NISAでは株や投資信託が投資先になるからです。日本に限らず、世の中には株式会社が多くあります。そして株が売買されています。 税金などは所得などに応じて負担率が変わるものがあります。一般に高所得者が、より高い率で税金を納めることが多く、所得税などはこの典型です。一方、消費税は、どなたも同じ率です。株などで得た利益は、ざっくりと約20%の税金がかかります。これは、利益の多さには変化せず一定です。新NISAは、額の制限はありますが、この税金が免除されています。そういった点では、有利な制度(利益が出やすい制度)です。新NISAは、積み立て投資枠(年間120万)+成長投資枠(年間240万)で構成され1年間では360万円まで投資可能です。また期間を考慮しなければ1800万まで非課税で運用できます。  経済は、短期間で見れば停滞や縮小する場合もありますが、長い年月で見れば拡張を続けます。同時に、金銭の価値は希薄化します。例えば、明治34年の1円の価値は、令和2年でいうと約14万4千円になるそうです(https://invalance.co.jp/invest-031/)。モノの値段が上がるとニュースになりますが、基本的には、モノの値段は上がり続け、金銭の価値が希薄化していきます(例えば初任給も増加していくのも同じようなものです)。例えばスターバックスで500円のコーヒーは30年後に同じ値段で購入できることはありません。そのため、今、持っているお金で購入できるものが10年後には購入できなくなる、ということはしばしば生じます。  繰り返しですが、株などは倒産する会社がありますので、個々の株の趨勢(すうせい)は誰にも予想できません。しかし、世の中にあるすべての株の株価を足した金額は、今後も増加していくと考えられます(経済は長期的に見れば、拡張していきます)。こういった背景のもと、新NISAは成り立っています。新NISAでは、“国の審査を通った上場株式や投資信託等”に投資をする場合、税制の優遇が受けられます。院長に感覚では、株は“ブルーマウンテンコーヒーやキリマンジャロコーヒー”、投資信託は“ブレンドコーヒー”です。 株は投資したその会社に投資結果が大きく依存します。投資したい人は、多くの種類の投資先から、“株”というジャンルを選び、そして“○○株式会社”と選択して、○○株式会社に投資の運命を委ねます。株価が将来どうなるかは結局のところ誰も分かりません。株価は会社の実力を反映している部分もありますし、人気投票という面もあります。一方、投資信託は、プロの人が、様々な株や債券などの商品をバランスよく組み込み、一般の人に買いやすいようにしている商品です(ブレンドコーヒーですです)。例えば、2023年9月は、JR東海の株を購入したくとも、最低150万円以上用意する必要がありました。“卵は一つのカゴに盛るな”という格言がありますが、全てを一つの籠に盛って勝負するのはハイリスクハイリターンになります。ただ、JR東海も購入して、トヨタ自動車、○○工業、△△産業も購入することができる人は資金力がないとできません。それを可能にするのが投資信託です。投資信託では手数料(正確には運用管理費用+信託財産保留額)を支払う必要がありますが、プロが様々な株や債券を購入して、投資信託の商品の趣旨に合うようにブレンドしています。購入しやすいように一口100円みたいに販売します。新NISAで選ばれている商品は、比較的、手数料が安くなっています。 当院に準備している本は素人向けの商品なども書籍には書かれています(販売されている本の多くは、素人向けで、おすすめ商品がかかれていますので、当院に置いてあるものが特別という訳ではないです)。来院されて興味があれば読んでみてください。 投資は長期にすることでメリットが増すことが多いと言われております。若い人により向いていると言われています。投資は自己責任でお願いしたいですが、ブログを読んで人生が少し良い方向に変化すれば幸いです。また、しばらくしたら、他のテーマを設けて本を準備したいと思います。

2024.07.23

慢性的な腰痛に悩む方へ(臨床治験のご案内) 

今回は、三重大学で行われる治験の案内です。整形外科を受診するきっかけとなる代表的な症状の一つが腰痛です。“国民が悩んでいる症状”に関する調査が時々行われており、腰痛は肩こり、頭痛などに並び上位に挙がる症状です。腰痛は病名ではなく症状名です。腰痛の原因は多種多様ですが、多いものは経年的な変化を背景にしています。整形外科では“根本的な治療をしてもらえない”、“痛み止めの処方を受けるだけ”、という声を聞きます。また、そういったことを逆手にとって、“根本的な治療をします”、と謳う施設・医療類似行為・サプリなどの広告もしばしば見ます。当院では、患者さんに事実を説明することを心がけています。  そもそも経年的な変化で生じる病気(腰痛に限らず、高血圧、糖尿病、高脂血症、など多くの高齢になるとかかりやすくなる病気)の根本的な治療は何でしょうか?それは、若返りです。一方、現状では、若返り薬やタイムマシーンはありません。そのため、根本的な治療はできません。それなのに、“根本的な治療をします”、と謳うことは、謳う人が事実を誤認しているか、事実と異なるとわかっていながら患者さんを集めるために大げさな話をしているかのどちらかです。当院では、経年的な変化で生じる病気に根本的な治療はできず、どうしても対症療法になると話しています。このように書くと冷たいと感じるかもしれないですが、“できないこと”を、“できる”ように装って説明する”ことは、知識の少ない患者さんを騙していて真心がないと考えるからです。  腰痛に対しては、薬物治療(炎症を抑える薬剤、神経の損傷を改善する薬剤、神経と神経の接続部の異常を治す薬剤)、装具(コルセットを用いて動きを制限する)、リハビリ、注射、手術などが主な治療になります。手術ですら、症状を改善するための対症療法です。勘違いされている方も多いですが、手術の多くは対症療法です。例えば、胃がんができて胃の切除をしたとします。癌はなくなりますが、胃も切除されています。その結果、元の体とは違うことになり、そういった意味では対症療法になります。  多くの方が望む根本的な治療は、まだまだ先の話ですが、再生医療は徐々に臨床応用されてきています。当院では、PRP療法という再生医療を主に関節の変形に対して行ってきました。また、三重大学整形外科では椎間板にPRP療法を行う治験を行い、良好な成績が出たことで、その後、臨床応用をしています。当院では、以前より椎間板に対するPRP療法の治験に協力してきました。  “治験”を人体実験と勘違いされる人もいます。効果や副作用が全くわからない物質を人に投与することは決してありません。治験は厳しいルールがあります。  以下は、治験に関する厚生労働省のホームページを引用します。  「治験」とは  化学合成や、植物、土壌中の菌、海洋生物などから発見された物質の中から、試験管の中での実験や動物実験により、病気に 効果があり、人に使用しても安全と予測されるものが「くすりの候補」として選ばれます。「くすりの候補」の開発の最終段階では、健康な人や患者さんの協力によって、人での効果と安全性を調べることが必要です。こうして得られた成績を国が審査して、病気の治療に必要で、かつ安全に使っていけると承認されたものが「くすり」となります。  治験は病院で行われます。治験を行う病院は、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」という規則に定められた要件を満足する病院だけが選ばれます。 その要件とは  ・医療設備が充分に整っていること  ・責任を持って治験を実施する医師、看護師、薬剤師等がそろっていること  ・治験の内容を審査する委員会を利用できること  ・緊急の場合には直ちに必要な治療、処置が行えること  (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu1.htmlより)  以下は、院長の意見です。「くすりの候補」と言っても、治験に入るような最終段階に至っているものの場合、効果や副作用は大方わかっており、最終確認という意味合いが強いです。もちろん、治験の段階で、想定より効果がなかった、あるいは想定より副作用の頻度が多かった、ということはあります。ただ、治験段階になり、未知の強い副作用が出現し人体に強い影響が出るということは考えにくいです。   当院が行っている、“治験に協力”とは、当院で治験をするという意味ではありません。三重大学では治験の条件に合致した患者さんを探しています。ただ、治験に参加する患者さんの条件は一般的に厳しく(治療効果を見るために、病気が少ない方が良い、薬を飲んでいない方が良い、など条件がありますが、一般的には若い人が対象になりやすいです)、三重大学だけで探すのが難しいことがあります(クリニックの方がはるかに多くの該当患者さんがいます)。院長自身が、研究を多くしてきた、あるいはしていることもあり、医学の進歩のために積極的に協力してきました。治験では患者さんを募集している期間があります。その期間内に当院受診された方で、治験の参加条件に合致する方については、三重大学で治験をしていることや、治験の概要を説明し、治験に参加したい方を紹介してきました。  治験に参加する患者さんにとってのメリットは、①医学の進歩に協力できる、②最先端の治療や効果判定・副作用確認のために必要な検査を無料で受けられることが挙げられます(その後、薬として承認された場合は、治験薬を無料でできることはありません)。デメリットとしては、①思ったより効果がなかった、②治験中は決められた時期に定期通院をしないといけない、③決められた検査を受けなければならない、④可能な限り研究データの収集に協力する(データ収集ではプライバシーは守られます。ただ薬の承認データを集めるのも目的の一つですので、研究協力して頂けるのが前提になります)、などがあります。  今回、三重大学整形外科から新しい治験の案内がありました。 概要としては、慢性的な腰痛で悩んでいる人を対象としています。 そういった方で、  ①18~75歳  ②椎間板が1ヵ所だけ悪い  ③腰痛が3カ月以上続いている  などが大きな条件となります。  もし治験に興味がありましたら、当院を受診して下さい。まず、健康保険で腰痛に対する一般的な検査や治療を行います。その中で、治験の募集要項に該当する方で、かつ、治験に興味があれば、説明させて頂きます。最終的に治験参加の意向があれば、三重大学整形外科と相談し、紹介させて頂きます。  最後に、三重大学整形外科から頂いた、チラシを添えます。参考にして下さい。  当院は、質の高い医療を心がけるとともに、医学の進歩にも協力するという社会的な使命をもって運営しております。今回は触れませんでしたが、当院独自の研究についてもご協力をお願いすることもあります(当院で行う研究は、薬剤の使用効果などの観察研究が主です)。よろしくお願い致します。 

2024.07.03

クリニック入口の絵画を変更しました

クリニック入り口、風除室には開院以来、型紙や絵を飾っています。開院時には、伊勢型紙で作成された東海道五十三次桑名宿がありました。その後、写真と間違うばかりに詳細に描かれた風景画、コロナの終息を願った絵を展示しました。コロナは終息とまではいきませんが、With コロナと言う単語も聞かれなくなりつつ状況で、コロナ発生から随分時が経過したことを感じます。マスク非着用の方がずいぶん増えましたね。医療機関は引き続きマスクをお願いしておりますので、ご協力お願いします。  今回、新しい絵を展示することになりました。今回は、四日市市在住の画家 南川朋宣先生にお願いし、夏をテーマとした絵を作成して頂きました。南川先生は、院長の中学高校の同級生です。現在は、四日市市を中心に活動しています。同級生の集まりで会った際に、この作品を見せて頂きました。  南川先生の作品の襖絵です。とても迫力がありますね。   南川先生は、寺院の天井画や壁画作成の依頼を多く受けており、様々な作品を発表しています。  当院では、“春夏秋冬”をテーマに絵をお願いしました。南川先生と打ち合わせをして、院長が思う漫然としたイメージを具体的に絵で表現して頂きました。素晴らしい作品となり感謝しております。  “花菖蒲とカワセミ”というタイトルです。金やアルミを使用しているそうです。    南川先生と院長    素晴らしい絵ですので、よろしければご鑑賞ください。また、絵や南川先生についてご質問や問い合わせがあれば教えてください。 

2024.06.14

防災訓練

5月30日に院内の防災訓練を実施しました。今回の防災訓練は前半に避難訓練を行い、後半は桑名西消防署の消防士さんによる消火器講習を実施しました。 前半の避難訓練は、診療時間中に待合室から出火し火災が発生するという想定で、シナリオに従い動くという形の訓練を行いました。スタッフは火災発見、初期消火、通報、避難誘導、応急救護、患者役、に分かれ、実際の火災時の活動になるべく近い動きを心掛けて担当の役割をこなしました。例えば初期消火では院内の3台の消火器を火災現場まで持ってくる、通報は事前に消防署へ断りをいれておき、実際に119番通報をする、避難誘導は院内から駐車場まで患者さんを安全に移動させる、応急救護は駐車場に救急セットを持ち出し対応するなどの動きを取り入れて訓練を実施しました。 このような避難訓練の場合は、シナリオのある劇を演じるようなもので、真剣に取り組むにはどうしても気恥ずかしさが伴います。しかし、実際に火災が発生した時には体で覚えた動きが威力を発揮し、パニック状態でも迅速な対応ができると思い、このような形での訓練となりました。スタート!の合図で訓練が始まり、防火管理者である私が想像していたよりも遥かに真剣に取り組むスタッフの姿を目の当たりにし、カメラのシャッターを押す事を忘れてしまいました。 後半の消火器講習は写真がありますので、講習の様子をご覧ください。(個人情報の保護のために画像処理をしております) 消火器の使い方の説明を受けています 訓練用の水消火器で実技をしています 災害時の行動について消防士さんからアドバイスをいただいている様子 今回の訓練の目的は、災害時に院内にいる方全員を無事避難させる事と火災現場に遭遇した時に躊躇することなく消火器を使用する事ができるという事でした。今後も様々な目的の訓練を定期的に行い、防災意識の向上につなげていきたいと思います。

2024.06.02

院長の経歴や富田浜病院グループについて

皆さまこんにちは。ブログを読んでいただきありがとうございます。 今回は、前半で院長の経歴について触れたいと思います。個人的なことで申し訳ありません。院長は四日市市にある海星高校を卒業、三重大学を経て医師になりました。専門科がどのように決まるか知らない方も多いでしょうが、基本的には希望です。また、その科の中、何を専門にしているのかについては明確な取り決めはありません。院長は骨粗しょう症を専門の一つとしており、骨粗しょう症専門医という資格は取りましたが、資格を取るのが難しい訳ではありません。話を戻しますが、医学部6年生ごろには何科の医師になりたいか決め、その科の教授の所にお世話になりたい旨を伝えに行きます(入局といます)。院長は、整形外科医になるか耳鼻科医になるか悩み、最終的に整形外科を選択しました。 整形外科に入局した後は、教授に命じられるままに大学病院、村瀬病院(鈴鹿)、大学病院、北広島病院(北海道日本ハムファイターズの本拠地です)、大学病院、尾鷲総合病院、鈴鹿中央病院、三重大学大学院(2年間決まった病院勤務はなく学生をして腫瘍の基礎研究していました)、富田浜病院(四日市市)と転勤し、2018年8月、当地に開業しました。 “医局”という独特の制度があります。医師はどの病院で働きたいかを自分で決めるのは難しいところもあります。勤務先は基本的には三重大学の教授が、各医師の事情や各地の医療事情などを考慮しながら勤務先を決定します。給与などの待遇は各病院によって変わります。勤務地が自分で決めにくいところもあり、時代の変化と共に医局制度の維持が困難になりつつあります。これは医療以外でも、転勤がネックになりつつあるのと類似しています。医局制度の崩壊と共に、医師の数が多い都市部や待遇の良い病院への医局を介さない個人就職が増え、都市部と田舎の医師の配置の偏りが出てきているように思います。ただ、医局制度が崩壊していくと、都市部は良いでしょうが田舎の医療は厳しくなり、そのような医療機関に勤務する医師がますます減ることが予想されます。 院長の頃は、特に20代は1-2年で転勤が当たり前でした。病院によって違いがあるので、それぞれで学ぶことが多くありました。院長にとって最長の勤務先は、富田浜病院です。2010年4月に赴任し、8年お世話になりました(当院には富田浜病院出身のスタッフは多くおり、現在も富田浜病院や関連施設と協力して診療しています)。富田浜病院は、JR富田浜駅のすぐ近くにあります。大規模な病院ではありませんが、私が勤務していた頃は、けが、背骨の手術、関節の手術、スポーツの手術を多くしていました。現在は、背骨の手術が一段と増加し、三重県でも有数の症例数になっています。今回は、富田浜病院やグループについて紹介したいと思います。このブログで、他院の紹介をするのも変に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、当院とは密接な関係にあります。 富田浜病院は大正7年に緑仙堂石田医院が設立されたことをルーツとしています。翌年に富田浜病院に改名しました。富田浜という地域を活かし、結核治療などを行っていました(当時は療養に向いていた土地でした)。昭和50年代に経営が傾いた時期がありました。そこで、東京で医師をしていた河野稔先生、河野稔彦先生が病院の立て直しを使命の一つに富田浜病院に赴任しました(以後を新生富田浜病院とさせていただきます)。その後、救急診療などを積極的に行い、徐々に病院は持ち直しました。さらにハードとソフト面ともに積極的に投資を行い、医療水準を一段と向上し、多くの手術をしています。現在は、新生富田浜病院では3代目の理事長にあたる河野稔文先生が運営の指揮をとっています(私は、河野稔彦先生と河野稔文先生に指導をしていただきました)。河野稔文先生の専門である背骨の手術では、Oアームナビゲーションという超高額な医療機器を導入し、安全に背骨の手術ができる体制を整えています。 富田浜病院がある敷地、あるいは隣接した場所には、関連する施設が多くあります。これは、河野稔先生が描いた、「トータル・ヒューマン・ヘルスケア・ユートピア(全人健康介護の理想郷)」を実現するためです。医療と介護は国の定めるルールに基づき行います。例えば、急性期病院(大病院がこれに当たることが多いです)は、骨折の手術を行いますが、急性期病院で1-2ヵ月リハビリをすることは、制度上なかなかできません。数カ月単位のリハビリが必要になれば、後方支援病院と呼ばれる病院への転院を勧められます。また、数カ月リハビリをしても自宅に戻ることが難しい場合は、施設などを探すことが多いです。施設の中にも種類があり、公的な支援の量が施設の区分により異なるために、それぞれの人の状態により行ける場所が変化していきます。状態が変わる度に、行き先を探すのは大変です。富田浜病院で勤務していて感心したことの一つが、医療から介護まで一体的に提供しているため、大半の患者さんが行き先に困らないようにグループ内で調整できることです。患者さんや家族の希望を聞きながら、適切な行き先を調整していました。 富田浜病院は急性期の受け入れ(手術や手術しなくてもケガの影響で自宅生活が困難な患者さん)、回復期の受け入れ(他病院からリハビリ目的の転院患者さん)ができます。富田浜病院では対応できない状態の患者さん(入院するほどではない、あるいは入院期間が長期になり制度上入院継続が難しい患者さん)や生活水準が低下し自宅生活が難しい方は、①老人保健施設、②小規模老人保健施設、③特別養護老人ホーム、④医療特化型サービス付き高齢者向け住宅などの入所施設があります。自宅生活が可能だが家族の助けだけでは難しく、お手伝いが必要な方は①通所介護事業所や通所リハビリテーションなどの通所サービス、②訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問給食事業などの訪問サービスがあります。また、介護支援(相談)も可能で、四日市市北包括支援センターもあります。分類などは難しく理解がしにくいと思いますが、私の印象としては困って相談したら、大概のことは対応してもらえます。富田浜病院グループは丁寧さが特徴の一つです。私が在職していたころに特別養護老人ホーム浜風が完成しました。私も将来、何かあれば富田浜病院グループでお世話になりたいな、と思っています。 気になる方は富田浜病院グループのホームページを見てください。 https://tomidahama.jp/ 富田浜病院グループのホームページより 当院でも、富田浜病院グループ出身のスタッフも在籍しており、ある程度のご質問を承れますので、質問頂けましたら幸いです。わからないことは、当院からも富田浜病院グループに質問しますのでお時間を頂くこともあります。 今回、富田浜病院グループの職員さんが、当院近くの方で、困っているにもかかわらず、上手く施設に繋がらなかった事例があったために当院にパンフレットをお持ちになりました。 頂いたものを下に紹介します。

2024.05.27
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