慢性的な腰痛に悩む方向けの臨床試験のご案内

昨年の7/4にブログに掲載した臨床試験についての案内です。 腰痛に悩む方は多くいます。2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況によると、国民の有訴の1位は、男女ともに、前回の2019年調査に続き腰痛が最多になっています。 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/04.pdfより 腰痛の原因は実に様々です。三重大学整形外科では、腰痛に対する再生医療を利用とした治療方法の研究など、腰痛に関する研究も精力的に行っています。現在、“慢性の椎間板性腰痛患者に対する臨床試験”を行っています。腰痛の原因の一つに、NF-κBという、たんぱく質が関わっています。椎間板でNF-κBが盛んに活動すると、炎症が引き起こされ痛みを感じます。今回の試験では、NF-κBの働きを抑える薬剤を1回注射して、その効果を評価する研究です。参加には様々な厳しい条件があります。例えば、椎間板の痛んでいる程度が治験で求める範囲にある、神経が圧迫されていないなどです。治験の予定終了時期が迫ってきています。もし、慢性の腰痛で困っている方がいましたら、治療の募集期間が終了する前に、当院で相談して頂ければと思います。まずは、状態把握をした上で治療方法の提案、治験への参加希望があれば対象者になりそうか、院長の方で判断させていただき、三重大学へ紹介させていただきます。

2025.06.26

Googleマップの口コミ対策とChatGPTの利用について

Googleマップは生活に欠かせないものになっていると思います。当院もGoogleマップで表示されます。また多くの方は、口コミを参考にお店を選ぶことも多々あると思います。医療機関も口コミを投稿する人もいると思います。 さて、今回は口コミについての話題です。先日、当院に口コミの対応をする業者さんからセールスがありました。医療機関の裏側ではないですが、口コミというシステムが広がると、それに対する新しい産業が生まれる、本当にすごいと思います。頂いた業者さんの手紙を紹介します。人って、本当にすごいと思います。繰り返しですが、新しい産業が産まれると、それに対する新しい産業が産まれ、社会が徐々に変わっていくことを実感します。後半は、ChatGPTについても触れたいと思います。 まず、頂いたセールスの書類です。 この業者さんにお願いすると、当院に投稿された口コミが、“完全に非表示化”されるそうです。そして、このケースだと口コミ1件が残るようです。原理はわかりません。ただ、口コミが多くあった古い“にいみ整形外科”が、なんだか新しい“にいみ整形外科”に登録しなおしたようにみえます。もしかして、一旦廃業したように見せかけるの?、と思います。それと共に、今後、次の書き込みがあったらどう対応するの?と疑問がわきます。ここで紹介する以外にも口コミ削除業者さんは多くあります。知人の医師に聞くと、事前にわざと悪質な口コミを書いて、その後、セールスする業者さんもあるそうです(真偽は不明です)。 この業者さんに感心するのは、わざわざ “批判的な口コミ” を選んでいただき、閲覧数まで書類にしてくれることです。当院以外の医療機関、あるいはお店にセールスをしていると思いますので、コピペとはいえ準備する事に感心しました。 ただ、どうやって口コミを選んだんだろう?と考え試してみると “評価の低い順” に並べて、上から3つを選んだだけなので、この点は、批判的な内容についてもう少し吟味して頂けると、なお良かったと思いました。閲覧数を、投稿者自身以外がどうやって知ることができるのかは、調べてみても分かりませんでした(ネットでは、投稿した人しかわからないことになっていました)。他にも、にいみ整形外科の写真は、夜景の外観写真は良いと思うのですが、裏手の室外機が表示されていることに、プチショックでした。室外機も当院の風景の一つですが、もう少し、いい写真を表示して欲しいです。今回の業者さんに対しては、細かいですが、完全非表示化する前と非表示化した後(した後は合成です)では、文字の大きさも変わっているので、もう少し繊細に作り込んで欲しいと思いました。 ここから話題が変わりますが、ChatGPTをご存知の方は多いと思います。最近では、口コミに対する返答をChatGPTにお願いする医療機関やお店もあるそうです(噂ですよ)。今回、一つの口コミに関して、ChatGPTに返事作成をお願いしてみました。 ChatGPTより 上記が、ChatGPTが考えた返事です。本当に感心する文章を一瞬で作ります。こうなると、もっとアレンジを加えてみたいと思い、条件を “できる限り謝罪するよう” に変えてみました。 ChatGPTより このように条件を変えたら、お返事はいろいろ作れます。 医療技術も日々進歩しています。医師の頭に多くの情報が入っていることも大切ですが、いかに、ChatGPTなどの技術をうまく使いこなすかが、効率アップにつながるなど良い医療の提供になると思います。 今回のブログのタイトルはChatGPTに手伝ってもらいました。ブログの出だしの内容をChatGPTに入れて考えてもらいました。ChatGPTにはブログの原稿の全文を入れていないためかしっくりこなかったので、今回も院長が考えたタイトルです。 ChatGPTより 当院で、今のところ口コミのお返事にChatGPTを使うことはないですが、もし、当院の“Googleのクチコミ”が1つだけになり、しかも★5でしたら、怪しいと思わずに見過ごして下さい(笑)。

2025.06.16

「STOPカスハラ」のポスター紹介

先日、桑名市から“STOPカスハラ”のポスターを頂きました。現在、桑名市内の多くのお店で使用されているそうです。折角なので院内に掲示することとしました。 セクハラ、カスハラ、いろいろハラスメントがあります。ネットで調べてみると、厚生労働省のハラスメントに関するページに行き当たりました。 (https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/definition/about) ここでは、5つのハラスメントが挙げられています。 ・パワーハラスメント ・セクシャルハラスメント ・妊娠・出産・育児休業等ハラスメント ・カスタマーハラスメント ・就活ハラスメント 今回、ポスターで頂いたカスタマーハラスメント(カスハラ)について上記のサイトから抜粋すると、 カスタマーハラスメントとは ・・・・・ 企業や業界により、顧客・取引先(以下「顧客等」)への対応方法・基準が異なることが想定され、明確に定義付けられませんが、企業の現場では以下のようなものがカスタマーハラスメントであると考えられます。 「顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合」の例 ・企業の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合・要求の内容が、企業の提供する商品・サービスの内容とは関係がない場合 「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動」の例 ※要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いもの・身体的な攻撃(暴行、傷害)・精神的な攻撃 (脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)・威圧的な言動・土下座の要求・継続的 (繰り返し)、執拗な(しつこい)言動・拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)・差別的な言動・性的な言動・従業員個人への攻撃・要求 ※要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるもの・商品交換の要求・金銭補償の要求・謝罪の要求(土下座を除く) (https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/definition/aboutより) となるそうです。一番最後の、“謝罪の要求(土下座を除く)”には、土下座は除かれています。“・土下座を除く”はかなり興味深く、調べると、これはカスハラではなく、犯罪行為(強要罪)に該当する可能性があるそうです。 お店側、利用者さん側の行き違いでカスハラは生じるのだと思います。なるべく気を付けて診療にあたります。ご理解ご協力をお願い致します。

2025.06.08

論文が掲載されました

院長が作成した和文論文が、「別冊 BIO Clinica」に掲載されました。今回は、アバロパラチド(商品名はオスタバロ®です)に関する短期治療効果の論文です。骨粗しょう症が改善し、骨折を予防するためには薬物治療は欠かせません。食事や運動療法もありますが、加齢性の変化を食い止める、あるいは改善する(若返る)ことは残念ながら難しく、薬物治療の効果に比べると見劣りします。プロのスポーツ選手がどれほどトレーニングや食事を節制しても引退することを考えて頂ければ、老化に対してそういった努力が完全ではないことがわかると思います。また、子供が食事を特に注意しなくても、男児は男らしく、女児は女性らしくなっていくことも食事の効果が限定的で、生命のプログラムがいかに強固なものかがわかると思います。 医学において薬物治療の骨折予防効果は大きいです(食事や運動療法を否定する訳ではないですが、効果の大きさは薬物治療の方が大きいですし、今後、薬剤は進歩していきますので、ますます効果の差が開くと思います)。様々な分野で新薬が登場してきますが、骨粗しょう症の分野でも、数年に一度くらいのイメージで新薬が発売されます。新薬は、基本的に過去のものに比べて効果や副作用が優れていないと発売されませんので(わざわざ見劣りする薬剤を発売する意味がないですからね)、新薬は過去のものに比べて、販売に値する長所があります。 今回、論文にしたアバロパラチド(オスタバロ®です)は、2022年11月に発売された重症骨粗しょう症者向けの治療薬です。健康保険で治療を受けるためには重症骨粗しょう症と診断される必要があります。オスタバロ®は自己注射製剤で18カ月間の使用期限があります。自己注射製剤はハードルが高いですが、実際に手に取ってすると簡単です。4カ月の短期での治療成績ではありますが、発売前に行われた臨床試験と同等の効果が確認できました。副作用は、気分不快や頭痛などがあります。ただ、実際にやめる理由の多いものが、やる気がなくなった、“治療行為に伴い副作用を感じる”ことです。“治療行為に伴い副作用を感じる”のは自己注射製剤では特に多い印象があります。例えば、添付文章をよく読んで、自分の体に変調がないかを心配して、当てはまるものがあれば副作用に違いないと考えることがその典型例です。添付文章に、倦怠感とあった場合、倦怠感が生じたから全て薬剤による副作用化というと、そうではありません。副作用で倦怠感を感じる人もいるし、たまたま倦怠感が別の理由で出ることもあります。注射に伴う倦怠感は注射に伴う訳ですから、注射して1週間後に倦怠感が出たなどは、凡そ副作用とは考えにくいです。ただ、実際、そのように思われ、中止する方がいます。多くの薬剤で添付文章の副作用に書かれているものは多岐に及びます。それを見ておれば、多くの人が、治療していなくとも1年でどれか一つくらいは該当するだろうと思う内容です(ちなみにオスタバロ®であれば、悪心、動悸、頻脈、上腹部痛、嘔吐、腹部膨満、疲労、倦怠感、四肢痛、背部痛、めまい、頭痛、掻痒感、発疹、起立性低血圧、心拍数増加などが書かれています)。オスタバロ®の12ヵ月、あるいは18カ月の継続率は今後調べていきますが、過去の自己注射製剤は、製剤内容が異なっても、12ヵ月で65%、24ヵ月で50%程度です。骨粗しょう症の新薬が数年単位で登場しますが、最近は注射製剤が大半です。最近発売が開始された内服製剤は2016年のイバンドロン酸(ボンビバ®)だと思います。内服薬しかない時代は、重症者も内服薬を使用していましたが、近年、発売が開始された骨粗しょう症治療薬は重症者向けがほとんどで、重症者に対する治療に目覚ましい進歩があります。当院では、最新の知識も踏まえながら、重症者には重症者向けの薬剤の中で最適と思われるものを提案しています。院長は薬剤の効果だけではなく、薬剤の副作用についても多く研究してきました。困ったことがあればご相談下さい。

2025.06.01

古典の漫画について

GWの真っただ中ですが、今日もいい天気ですね。朝夜は風が吹くと肌寒いですが、昼間は暑いくらいの天気です。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?院長である私は、用があり長時間電車に乗りました。東海道新幹線で東京駅まで行き、東北新幹線に乗りました。名古屋駅や東京駅ホームは大変な混雑で、乗降者に時間を要し、電車も遅延していました。ホーム上に、今回ほどの人がいることを経験したことがなく驚きました。東北新幹線は、東海道新幹線と異なり自由席もありました(東海道・山陽新幹線はピーク期間、のぞみは全席指定席になっています)。私は、東北新幹線の指定席予約ができずに、自由席で乗車しました。しかし、乗客が多すぎて、自由席には入りきらず、指定席の通路にまで立つ人が多くいました(JR側から、自由席車両だけでは収容できないので、指定席車両の通路に立っても構わないという趣旨のアナウンスがありました)。大変な混雑はテレビで見る光景でした。  電車移動が4時間ほどあるために、読書をしようと思いました。その際に、読書というかは微妙ですが、古典漫画を準備し読みました。そのうちの一つは落窪物語です。今回は、落窪物語についてご紹介します。落窪物語は、学生時代に古文で何度か試験で出題されましたが、どんな本なのか全く知りませんでした。今回、漫画で読み、ようやく概要が知れました。高校生の時に知っていた方がよかったなとも思いました。落窪物語は、継母にいじめられるヒロインの物語です。  まず、落窪物語の簡単な紹介からです。  床のくぼんだ「落窪の間」や物置部屋に追いやられ、味方は侍女一人だけ。継母にこき使われる孤独な娘は、どうやって幸せをつかむのか?  「落窪物語 (岩波文庫) 藤井 貞和より」  高貴な女性が住む部屋の名前を、女性の呼び名とすることがよくありました。物語は、継母に虐げられ、部屋や着るものも自身の娘たちとは異なり、みすぼらしいものを与えられ、それにもめげずに、数少ない味方に支えられ生活するヒロインである落窪のシンデレラストーリーを描いています。落窪の前に貴公子 右近の少将 道頼(右近の少将は官職です)が現れ、苦難を救ってもらいます。そして、道頼は継母に仕返しをして、最終的には継母や継母の言うことを信じていた実の父親に反省してもらうという流れです(このパラグラフは院長の解釈です)。  先ほど、シンデレラストーリーと書きましたが、あらすじはシンデレラと類似しています。落窪物語は10世紀に成立したと言われていますが、継母のいじめ問題は、ずいぶん昔からあったのですね。ただ、悲劇のヒーロー・ヒロインがどん底から這い上がる流れは、恐らく書物が成立する前から様々な形であったと思いますし、現在もドラマ、漫画などでこのパターンが数多くあると思います。社会生活の本質が垣間見えます。  落窪物語は、話も短く、登場人物が15名程度と比較的少ないです。私が古典の最高傑作の一つと信じている源氏物語は、登場人物500名とも言われますので、源氏物語に比べると人間関係も単純だと思います。今後、院内に書籍を並べる時もあると思います。古文が必要な受験生の方をはじめ、よろしければ手に取ってご覧ください。  漫画になるとわかりやすいです。ただ、慣れるまでは、登場人物の人間関係や漫画の顔が似ていてくべつがつけにくいです。  P.S.  もう一つ、和泉式部日記も読みました。こちらは、恋多き女と言われる主人公 和泉式部が、他界した恋人のことが忘れられずに、その弟と恋をする物語です。かなり過激な設定ですが、現代でもあり得る話ですね。 

2025.05.05
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