側弯症について

ブログ 2023年12月5日

今回は、側弯症という病気についてご紹介させていただきます。

【背骨の構造】

側弯症(背骨が曲がっている/歪んでいる状態)の方は多くいます。人の背骨は、頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙椎1個、尾骨1個から成り立ち、ブロックみたいに積まれています。“椎間板ヘルニア“で有名な”椎間板“は骨と骨をつなぐクッションです。背骨は正面からみれば、まっすぐです。また、横から見ればS字のように弯曲しています。

【側弯症】

脊柱側弯症(以下;側弯症)は、並び方がおかしくなっている状態です。すなわち、側弯症では背骨を正面から見た場合に、左右に曲がっています。また、側弯症では、横から見た並びにも変化が出る人がいます。健康的な状態であれば、背骨は横から見れば弯曲していると書きましたが、側弯症では、まっすぐになったりします。これは背骨が3次元的になっており、側弯では3次元で骨が歪むためです。

【側弯症の検診】

側弯症が発見されるきっかけの一つが、学校での検診です。検診は1979年度に導入され、側弯症学校検診に代わり2016年度から運動器学校検診が開始されました。側弯症の検診は難しいものではなく、見た目が大切です。自宅でも確認できます。

側弯検診では、①まっすぐ立った状態で背中の歪みを見ます。②立った状態で腰を90度屈めて背中の歪みをみます。具体的には、立ったまま腰を90度屈めると、背中は床に平行になります。その時に背中が歪んでいないかを見ます。側弯症では、ほとんどの場合、右肩甲骨が左に比べて高い位置にあります。歪みがあれば側弯症を疑います。このような場合は整形外科を受診して下さい。学生さんは年に1回、自宅で側弯検診、成人女性は年に1回、乳がん検診をしていただくといいと思います。2つとも、自宅でまずチェックを行うことで早期発見できる可能性があります。

【側弯症の原因;よくいただく質問】

側弯症の原因は不明です。ただ、女児に多いです。側弯症と診断した際に、ご両親から、“姿勢が悪いからでは?”、“重たいかばんを、片側の肩にかけて持っているからでは?”という質問を多くいただきます。現時点では、通学鞄の種類や重さ、寝る姿勢、ベッドか布団か、などで側弯症が生じるという事実はないようです(“ない”ことを証明することは極めて困難ですので、医学的には、“ないよう”、という表現になります)。繰り返しになりますが、過去に様々な調査がなされているにも関わらず、現時点では原因は不明です(すぐに思いつくような姿勢とか鞄、布団などは、“側弯症の原因ではない”可能性が極めて高いということです)。

【側弯症の治療】

曲がりが軽微なものは様子を見ます。ただ、かなり進行する患者さんもいますので、定期通院は必要です。成長が止まると、側弯の進行が止まる患者さんは多くいます。同時に一部の患者さんでは、成長が止まっても進行します。成長が止まっても進行する患者さんの特徴としては、歪みが強い方です。成長期が終わるまでの時間が長い患者さん、つまり低年齢の患者さんは特に注意が必要です。

少し進んでいる患者さんはコルセットを勧めます。生活指導(生活で気を付けるなど)は治療の効果があるか不明です。エビデンスと言って治療効果が証明されているものはコルセットです。できるだけ長い時間の着用を勧めますが、なかなか着用してもらえない所が難しい点です。

かなり進行した患者さんは手術も検討されます。

【当院の対応】

当院はコルセットまでの対応をしております。手術が考えられる患者さんは、当院に来院される脊椎専門医の診察日に予約を取らせていただいたり、側弯を熱心に治療している病院へ紹介しています。

もしよろしければ、下記ホームページも参考にして下さい。

日本側弯症学会のホームページ

https://www.sokuwan.jp/