下肢創傷処置・管理のための講習会を受講しました

ブログ 2023年9月23日

整形外科では、足の診察もしばしばしています。外傷、生まれながらの体質に起因して大きくなると発症するもの、使い過ぎに伴う炎症、腫瘍、痛風、関節リウマチなど病気のバリエーションは豊富です。時に、足の血の流れが悪くなることで足が壊疽(組織が腐る)する病気の方を見ます。腎臓が悪くなり人工透析をしている病院に勤務した時や高齢者が多い病院に勤務した時には、整形外科に切断の依頼がありました。切断の手術は、好まないですが、一部の方は激烈な痛みがあり、こういった方は切断することで痛みが緩和するので手術するのも医師として納得できました。ただ、自覚症状のない方は放置しておれば命にかかわることがあるために、切断を勧めて手術をしてきました。患者様からすると、なるべく足を残したいため、より足先に近い側での切断を希望しますが、一般に足の付け根より足の先に近くなるほど血流は悪いため、バイ菌感染を生じやすく、切断部の皮膚が上手く生着しない傾向にあります。1回目の切断で上手くいかない場合、再度、別の部位(初回よりもっと足の付け根側)での切断となります。そのため、どこで妥協点を見出すかが悩ましいところです。

今回の講習では5人の講師の先生が解説をして頂きました。多くのことを習いましたので、全て書くことは難しいですが、要点を列挙すると

①傷の処置について(外科的な治療、塗り薬や創部を覆う素材の使い方、きれいな生物を使用した処置方法)

②重症下肢虚の特徴や予後。ABIという血管年齢の測定は時に当てにならないこと。重症者には、外科的血管バイパス手術(詰まった血管と平行に走る別の血管を作成する手術)、血管内治療(血管内から悪い血管を膨らます)の対応方法があること。

③手術の有無に関わらずリハビリも大切であること。

④装具を適宜使用することで、患部に負担をかけないようにして回復を促すこと。

①~④を合わせてチームとして治療していく必要があること。

でした。今後は講習で学んだ知識も大切にして、難治性の足の潰瘍や感染症の治療に当たりたいと思います。また、外科的血管バイパス手術、血管内治療の対象になる可能性がある患者様は、適宜専門医に紹介する体制をとる必要があると考えました。

当院では、胼胝(タコ)の方の検査や治療もしております。足の潰瘍や胼胝で困る方がいらしたら相談して下さい。皮膚科さんの方が適する場合は皮膚科さんに紹介することもありますことをご理解ください。