三重県歯科衛生士会桑員支部の研修会に参加しました

ブログ 2023年2月26日

本日は三重県歯科衛生士会桑員支部の研修会に参加しました。同会より講師の依頼を頂き、骨粗しょう症、骨粗しょう症と歯科分野との関係について取り上げて説明しました。多くの方に参加していただき、ありがとうございました。 

講演の内容を少し紹介します。まず、骨粗しょう症の診断には、転倒などで骨折した経験があることが大切なことを説明しました。それ以外に骨密度が低い人も骨粗しょう症と診断されます。骨密度が低いことも大切な診断方法ですが、それ以上に大切なのか骨折の実績です。同じ人が何度も骨折しやすいことは、繰り返し報告されています。近年Treatment gapという言葉が論文で紹介されています。これは、治療を受けるべき人が治療に至らないギャップがあるという意味です。転倒して骨折を生じているため、骨粗しょう症であるにも関わらず、骨密度を測定して高値であったために骨粗しょう症ではないと医療者や患者さんが考え治療しないことがしばしばあります。こういったことがどうして間違っているのか、様々な研究結果を紹介しながら解説しました。 

次に口腔内の状態と種々の全身疾患について案内しました。歯周病は肺炎、糖尿病、認知症、脳血管障害疾患、心血管障害疾患など多くの病気に関係していると考えられています。そのため、歯科検診などで歯を中心として口腔内の衛生環境を保つことは重要です。骨粗しょう症に関していえば、歯の本数が少なくなるほど骨粗しょう症の確率が高いとも言われています。 

最後に薬剤関連性顎骨壊死についても最近の研究の一部を紹介しました。現在、顎骨壊死に関する新しいポジションペーパーが作成中です。正式な発表ではありませんので、修正される可能性もありますが、従来、抜歯後に生じるとされていた顎骨壊死は、感染症の側面が強くあり、抜歯後に生じるというより抜歯前から生じており、抜歯により顕在化するのではないかと考えられるようになってきています。また、一部の骨粗しょう症治療薬は抜歯前に休薬した方が良いかについては、以前から休薬するメリットがはっきりしないと言われていましたが、むしろ休薬しないことを弱く推奨するという流れになっています。これらは、様々な研究で指摘されていた内容です。そういった点についても説明しました。歯科衛生士の方からも質問を頂きました。歯科衛生士の方の患者さんを思う気持ちが伝わる質問でした。ただ、医科と歯科の連携を取りながら治療に当たっていくという姿は理想である反面、まだまだ不十分な状態です。講演会に参加して頂いた歯科医もいらっしゃいました。会の終了後にお話させていただき、歯科の立場も教えて頂きました。患者さんを中心に医科や歯科が連携し、よりより医療に繋がればと思いました。 

大山田コミュニティープラザでの研修会の様子