院長の論文が掲載されました

ブログ 2024年5月11日

先月も院長の論文について報告しました。今回、2カ月連続で、院長の論文が掲載されました。今回の報告されたのは重症骨粗鬆症者向けの薬剤である、抗スクレロスチン抗体製剤の治療成績についてです。抗スクレロスチン抗体製剤は12ヵ月の使用期限がある薬剤です。骨粗鬆症治療薬の中には、使用期限や回数が決まっているものがいくつかあります(指定の回数を超えたから体に悪影響が出るわけではないnのですが、保険診療上は決められた回数しかできません)。本剤は2年間の治療成績も報告されています。抗スクレロスチン抗体製剤は保険診療では、月に1回、計12回、クリニックや病院で注射します。

今回掲載される抗スクレロスチン抗体製剤に関しては、既にいくつか本邦から国際雑誌に報告されています。院長の論文も本邦から報告された論文も、発売前に行われた第三相試験という臨床試験とほぼ同じ結果で、実臨床でも同じような効果や副作用頻度であることが確認されました。先月も述べましたが、「強い薬=副作用が強い」と信じている人が多くいます。副作用が強くて効果が弱い薬は割に合わないので発売に至らないでしょうが、「強い薬=副作用が強い」は必ずしもそうではありません。抗スクレロスチン抗体製剤は非常に強い骨密度増加効果がありますが、副作用は比較的少ない、軽いと思います。当院では骨粗しょう症治療を熱心にしており、患者さんと相談しながら薬剤を決定します。何度も骨折したりする人は、抗スクレロスチン抗体製剤が合う患者さんです。お困りの方がいらっしゃったら受診して下さい。

さて、サプリメントの副作用に関して盛んに報道されています。サプリメントが一様に悪いとは思いませんが、サプリメントについて、安全であると思う方が多いことように感じます。また天然のものが安全と思う方も多いと思います。骨粗しょう症の診療をしていると、①運動と食事で骨粗しょう症を治したい、②病院で処方する薬剤ではなくサプリメントで治したい、という話があります。骨粗しょう症は、体質も影響しますし、加齢性の変化も影響します。食事と運動で人が年を取らなくなれば骨も弱らないでしょうが、食事と運動に気を付けても人は衰えていきます。衰えのペースは違うでしょうが、劇的な変化を産むかは疑問です。体質についても、骨の強弱は恐らく遺伝子的なことが強く関係しているでしょうから、食事と運動ではわずかにしか変わらないでしょう。ただ、運動と食事を否定しているわけではありません。食事と運動に気を遣うことは大切だと思います。運動により筋力やバランス感覚は維持しやすいでしょう。肝心な点は、薬物治療の効果と食事や運動の効果にはかなりの違いがあるにも関わらず、薬物治療の代わりに食事と運動をしようとするところだと思います。実際、薬物治療を行うことには手間がかかると思いますが、手間に対する効果のパフォーマンスは、他の方法を圧倒していると思います。

病院で処方する薬剤は、発売前に長い旅をします。細胞実験、動物実験(小型動物から徐々に大型動物に対象を変え研究します)、限られた健康的な人に対する投与、限られた患者さんに対する大規模試験(第三相試験)を経て発売に至ります。第三相試験は保険診療ではありません。参加者は研究概要に関しての十分な説明を受け、臨床研究に参加する希望がある人が対象者です。研究参加者は基本的に無料で治療を受けています。院長は、ある薬剤の臨床試験を監視する役を務めたことがあります。参加者に副作用が出ていないかの確認は、特に厳格です。ようやく日常診療で使用できるようになっても、まだ終わりではありません。発売後にも市販後調査が行われており、効果や安全性に関してチェックを絶えず受けています。実臨床で使用されるようになると、各分野の専門家や大学病院などを中心に研究(臨床成績の評価)が行われ、実臨床でも問題が生じていないか評価を受けます。副作用はどのような薬剤でもありますが(というか、副作用のない事柄はないと思います)、それが薬物により受けるメリットと比べて、許容できるのか何度も評価されます。薬ができるまでの流れは、後日、紹介しようと思います。

今後、院長が発表した論文以外にも同じ薬剤の治療成績に関して、他施設からも論文が発表されると思います。そういった情報も収集し、今後も治療につなげていきたいと思います。