マイナンバーカード利用の推進など医療を取り巻く環境について

ブログ 2024年5月6日

GW最終日ですね。当院では5月4日に救急の受け入れなどを行いました。GW中で対応できる医療機関が見つからないためと思いますが、遠方の方も当院まで受診されました。骨折などの怪我、急性腰痛など強い痛みに悩んでいる方にとっては、医療機関が見つからず、特に困ったと思います。GW中、1日のみですが医療貢献できて良かったと思います。

さて、GW中に院長は医療体制の変更に伴う準備に多くの時間を使いました。医療体制変更への対応については、普段、なかなか時間がないために、GW中にしたい事でした。医療制度も変化していきます。本日は、医療制度の変化について少し紹介したいと思います。

普段の診療は、国が定めたルールに基づき行っています。患者さんには説明しきれませんが、保険ルールには様々なものがあり、どういう経緯でそうなったのか理解しがたいルールもあります。ルールの解釈には幅があるものの、概ね国が求める制度を順守、国が誘導する方向に従って医療機関が対応していくことが必要です。現在、国が取り組んでいることの一つが、医療DX(デジタル・トランスフォーメーション)です。医療DXについて、国は各医療機関へ対応を促しています。医療従事者でない方には医療DXという言葉すら知らない人が大半だと思います。実際、医療者でも知らない人も多くいます。

厚生労働省ホームページによると、医療DXは、医療分野でのデジタル・トランスフォーメーションを通じたサービスの効率化や質の向上により、

①国民の更なる健康増進、

②切れ目なくより質の高い医療等の効率的な提供

③医療機関等の業務効率化

④システム人材等の有効活用

⑤医療情報の二次利用の環境整備

の5点の実現を目指すものであり、我が国の医療の将来を大きく切り拓いていくものです。     <厚生労働省ホームページより>

医療機関によりますが、クリニックですと、大半で院長が中心となって勉強して対応していくことになります。制度が理解しにくく時間がかかっています。ただ、医療DXそのものは、医療のスリム化や効率化に必要ですので、今後、すべての医療機関でその方向になっていきます。例えば、医療DXが推進されると、紙カルテは存続できないと思われます。恐らく数年で、紙カルテ中心の医療は存続が厳しい状況になっていくと思います。現時点で紙カルテを使用している医療機関にとっては、紙カルテの保管をしながら電子カルテに新たな記録を残していくという作業を行う必要があり、非常に大変ではないかと想像します。

それ以外に、国が医療機関に求めていることは、マイナンバーカード利用の促進です。報道によると、マイナンバーカードの保有枚数率は、2024年2月末時点で73.3%まで増加したそうです。ご存知かと思いますが、マイナンバーカードと保険証は一体化され、令和6年12月2日以降は、新しい紙の保険証は交付されなくなります(紙の保険証は廃止)。現在お持ちの保険証は有効期限まで使用できます。マイナンバーカードの利用用途はどんどん広がっていくことになります。例えば、マイナンバーカードと運転免許書が一体化される方向になっていることも報道されています。マイナンバーカードに不安を覚える人も多くいるでしょう。院長の感想ですが、現実的には、マイナンバーカードのみを過度に心配しても仕方がない気がします。例えば、現在、最も個人情報が集積されているツールは圧倒的にスマホだと思います。スマホには既に多くの個人情報が入っています。スマホに何のアプリを入れているか人によって違うでしょうが、メールやLineからは個人のやり取り情報や知り合いの個人情報、ネットショッピングする人ならカード情報も入っています。そのため、勝手にショッピングに使用されるリスクもあります。また、銀行や証券会社のアプリがあればお金の送金も可能です。電車系のアプリが入れていたら乗り物に乗れます。多くの方のスマホには、マイナンバーカードを凌駕する情報が入っている可能性もあり、マイナンバーカードが、突出して危険と言う訳でもない気がします。

さて、医療機関におけるマイナンバーカードの利用については、多くの問題や不安があることも事実です。河野デジタル相は、「マイナ保険証を使えなかった場合、既に開設しているマイナンバー制度に関する電話窓口に連絡するよう求めた」、との報道がなされました。脚色されている可能性もありますが、“すごい内容だな”、という印象です。また、マイナンバーカードのメリットは、医療機関での情報が共有化されることが挙げられています。

当院でもマイナンバーカードを利用できますが、厚生労働省が行う勉強会でも、マイナンバーカード利用へ強く取り組むことを求められていました。具体的には、患者さんに対して、“マイナンバーカードをお持ちですか?”という質問ではなく、“マイナンバーカードを出して下さい”と言うように質問表現を変更して欲しいということまで、勉強会では説明をされていました。その他にも、マイナンバーカードの利用普及のために、医療機関に様々な支援策が講じられています。例えば、カードリーダーの購入補助(リーダーは結構高いんです)、マイナンバーカード利用率に伴う金銭的な補助などです。公にされていることですので具体的に記載すると、2023年10月時点の利用率を起点として、一定期間で利用率が5%以上、10%以上、20%以上など増加した率により、定められた費用が医療機関に支払われます。これは、マイナンバーカードの利用のために、①医療スタッフに負担がかかる人件費的な対価、②大病院を中心に専用レーンを設けることなどが求められていることへの対価と考えて頂ければと思います。国が求めることを行う必要があるので、今後、当院を含めて、多くの医療機関がマイナンバーカード利用を促す方向になると思います。皆様におかれては、マイナンバーカードへの不安がある中、心苦しいですがご協力お願いします。

その他に、国から医療者の賃金アップも求められており、それに伴うルール変更もあります。賃金アップした医療機関へ、国からアップした分を支払うという制度です。医療機関は、その収入の大半を健康保険に依存しています。周知のとおり健康保険の運営は苦しくなっており、今回の利用改定でも、基本的な費用は据え置きです。例えば、多くの手術に伴う費用は据え置きです(というより、手術の技術料は、恐らくですが、私が医師になった20年前から、ほとんど変わっていません。多分、もっと前から変わっていないんでしょうね)。今回の改定は、プラス改定でしたが、プラス改定の部分、全てを賃金アップに使用して下さいというのが国の方針です。この制度が理解しにくい上、額が少額の割に手間がかかる微妙な状況です。そのため、院長が知る限りは、多くのクリニックでは、具体的な対応を開始していません。様子を見て、制度が分かれば取り組もうという感じです(制度とは別に賃金アップをしている医療機関はあります)。制度利用は、6月が一つの区切りで、国に申請書、後日実績書を作成する必要があります。GWに制度の勉強をしていますが、何故か事務職員など一部の職種は賃上げ対象の第一の対象者(表現がおかしいのですが、厚生労働省が発表した資料では、このような表現になります)ではなく、どのように対応すればよいのかがはっきりしません。賃金アップへの対応については、制度上皆様の医療費にも影響が出ることは決まっています。当院でももう少し勉強して準備していきたいと思います。

GW明けは混雑が予想されます。ご理解いただきますようお願い申し上げます。