新型コロナウイルス第7波の流行も徐々に収まりつつありますが、以前として新規感染者は発生しています。感染者への対応方法にも、完全ではないかもしれませんが、ある程度手順が確立されてきたと思います。一方で、経済活動への影響が少なくなるように、新型コロナウイルスとどう付き合っていくかも大切な課題になっています。
院長は、年20~30回ほど講演会に出席します。大半は演者としての参加で、骨粗しょう症、高尿酸結晶(痛風)、痛みについての講演をしています。新型コロナウイルス流行に伴い、新型コロナウイルスが登場してから、大半の講演会はWebを用いて開催されています。Webでは移動時間が少なく便利な反面、どうしても臨場感がないことが欠点の一つと感じています。今回、新型コロナウイルス流行後初めて県外の勉強会に参加しました。直前まで新型コロナウイルスの流行状況をみて参加しました。今回は、三重大学出身で、卒業後に千葉県に戻り大活躍されている先生からお誘いを受けました。講演会では、声をかけて頂いた先生の講演がありました。千葉県での骨粗しょう症治療の取り組みがテーマでした。
過去に何度もお伝えしたことがあるのですが、一度、骨折した人は何度も骨折しやすいことが知られています。そのため、一度転倒など軽微な外力で骨折した人は(転倒して骨折すれば、その時に、体に勢いがついていてもそうでなくても軽微な外力と考えられています)、骨粗しょう症の治療を検討すべき状態です。また、ここ数年の骨粗しょう症分野では、骨折1年以内に次の骨折を生じる人が特に多いことが、過去の研究から明らかになっており、最近では、骨折直後の患者さんには、強力な骨粗鬆症治療薬(注射製剤)で治療すべきという論文も発表されています。
骨粗しょう症の治療継続率は低く、治療が必要な人でも1年で約半数の人が治療をやめてしまうという現実があります。そのため、様々な医療機関で骨粗しょう症リエゾンサービス(OLSと呼ばれます)という取り組みをしております。OLSは患者さんやご家族に骨粗しょう症について知ってもらったり、骨粗しょう治療継続率を高めたりする活動をさします。OLSの参加する医療スタッフは医師だけではありません。骨粗しょう症治療薬の中には、治療中断に伴い、リバンド現象を起こすものもあり、治療の中断が危険になることもあります。当院では、受診がなかった患者様にお電話をさしていただいたりして治療継続率を高めています。
最近、医療制度面からもOLSなどの活動に対する支援がありました。保険制度の改定に伴い、“大腿骨近位部骨折患者に対して、継続的に二次骨折予防を行った場合(二次骨折とは、骨折した人が次に起こす骨折のことを言います)”の費用が新設さました。総医療費は年々増加しています。その中で、骨折に対する医療費も大切です。国としては、骨折の治療も大切ですが、その予防をすることの方が、医療・介護費(大腿骨骨折の場合は歩行能力なども低下しますので介護費も増加します)の抑制にメリットが多いと考えたのではないかと思います。
千葉県ではいくつかの医療機関が連携し、二次骨折予防に取り組んでいました。三重県でもこういった取り組みが増えていくように努力していかなければと感じました。こういった活動を通して、健康年齢が延びればと思います。