2021年の活動について

お知らせ, ブログ 2021年12月31日

本年も新型コロナの影響を強く受ける一年となりました。新型コロナ感染患者さんが増えるとともに、その病態についても徐々に判明してきました。現在分かっていることは、①重症者や死亡者は高齢者に多いこと、②変異株が次々に生じること、③ワクチンの有効性はある程度あること、などだと思います。たまに、最近の感染者はワクチン接種が多いというコメントを見ますが、日本人の約8割はワクチン接種者です。現時点でワクチンを接種していない人には、ワクチンの対象者になっていない小児がある程度含まれています。小児の場合、感染していても検査すらされず、そのため診断がされていないケースも多くあることが想定されます。そうなると、ワクチン未接種者で検査を受ける人はその人口自体が少ないですから、感染率が高くても感染者数は少なくなります。

またワクチンも開発され、完全ではないですが積極的な予防もできつつあります。今後は治療薬についても徐々にできるでしょうから、よりコロナと戦う体制が整うと思います。今後、3回目の接種が進んでいくと思います。院長は、同一メーカーでの3回接種した場合と異なるメーカーを組み合わせた3回接種した場合とどちらの予防効果が高いのか、あるいは副反応はどうなるのか気になるところです。

さて、クリニックについてです。冬になり、気になる病気・ケガが2つありました。一つは前十字靭帯損傷、もう一つは腰椎分離症です。啓発を込めて病気について説明します。

前十字靭帯損傷は膝に生じるケガです。人と交錯して生じることもありますが、スポーツなどで膝を捻って負傷します。直後から痛くて動けない人もいれば、歩ける人もいます。時間と共に膝の中に血が溜まってくることが多いので、数日で膝も痛くなり動きにくくなります。その後、徐々に膝にたまった血もなくなってきますので治ってきたように感じます。前十字靭帯がないと、膝がぐらつくために、スポーツをしているとガクッと膝がずれる・外れる感じが出ます。前十字靭帯は膝の安定性に大切です。そのため損傷したままにしておくと、半月板という他の組織も損傷を引き起こし、将来、膝の変形が出現する確率が高くなります。前十字靭帯損傷は問診や膝の中の血を確認することで、損傷を強く疑うことができます。可能ならMRI検査、症状が引けば徒手検査をして最終診断します。基本的には手術が強く勧められます。

もう一つが腰椎分離症です。腰椎分離症は主に学生さんの世代に起こる、腰の疲労骨折です。スポーツをすると腰痛が出て、休むと改善します。この病気の大切な点は、早期診断が極めて大切なところです。レントゲンで分離症が分かる段階になってしまうと、かなり進んでいる時期で、そこから治療しても疲労骨折の骨癒合が得られる確率は低いです。そのため、レントゲンでは診断できない時期に診断することが大切です。では、どのように診断するか?ということになります。前述した前十字靭帯損傷と異なり、腰椎分離症は、問診を用いた診断は難しい病気です。腰椎分離症は、MRIやCTを行うことで早期診断します。早期診断ができればコルセットを用いた治療を行います。

二つの病気ともに、知識をもとに疑うことが診断に大切です。また診断や適切な対応が、その後の経過に影響します。

クリニックは開院以来、より利便性が高まるように適宜工事をしております。建屋そのものを大幅に変更する工事は、様々な制約がありできません。本年12月には、駐車場の増設が行われました。駐車場が9台増設され58台に駐車が可能となりました。コロナ禍で、院内で待つより車内で待つことを希望される方も多くいます。できるだけ早く診察させて頂けるよう工夫していきますが待ち時間を車内で過ごされたい方はスタッフまで声をかけて頂けましたら幸いです。

最後に、学術的な活動についてです。本年は20回の講演会の講師を担当しました。主に骨粗鬆症に関しての講演会です。コロナ禍の現状ではWebを用いた講演会が主で、なかなか対面形式で開催できないのが残念ですが、講演会を通して多くの先生と討論することは刺激になります。また、和文ですが、論文が1編発表されました。依頼原稿と呼ばれる形式のものです。これは、骨粗しょう症に関し著明な先生から内容が指定されたうえで原稿の作成依頼がありました。院長はSERMと呼ばれるグループの解説を担当しました。順調に行けば来年も1編、整形外科雑誌に掲載される論文があります。和文の論文も大切ですが、より大切なのは審査がより厳しい英語論文です。今後、英語論文でも評価されるような内容で、論文を作成していきたいと思います。