今回は骨密度測定器について紹介します。開院4年目に入ったところですが、早めに骨密度測定器の大規模メンテナンスを行いました。何が大規模化というと、最も大切な乾球と呼ばれる部品を中心に取り替えました。
骨密度測定の目的は2つあります。1つは骨粗しょう症の診断のため、もう1つは治療の効果判定のためです。
骨密度測定器には数種類あります。一生涯で骨密度値が変化しにくい部位、治療により変化しにくい部位、検査の誤差が大きい部位など特徴があります。
骨粗しょう症の診断において最も大切なのは股関節だと思います。それは骨折が生じた際の影響が大きいからです。股関節の骨折は、私が以前勤めていた富田浜病院で研究した際も、熱心なリハビリにもかかわらず半数の方で歩行能力が低下していました。次いで大切なのは、背骨だと思います。背骨の骨折は発生件数が非常に多いからです。そのため、股関節や背骨の骨密度が測定できるタイプの骨密度測定器が最も有用です。ただ、この機械は高額な上、スペースの問題ですべての医療機関でできるわけではありません。当院では、骨粗しょう症を熱心にしていますので、この部位を測定しています。
また治療の効果を見る際に有用なのは背骨です。これは、背骨の骨密度は治療で変化しやすいことや、検査の誤差が少ないことが理由に挙げられます。私が過去に行った研究では、2回連続骨密度を測定しても、背骨では4割の人しか同じ値になりませんでした。股関節に至っては1割の人しか同じ値になりませんでした。手首や手、踵はそれよりも誤差が大きいと考えられています。もともと治療により骨密度が上がりやすい部位ではないので、経過をみるのは不得手な部位です。