明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、年末から、クリニックの2025年についてまとめていました。その一部を紹介させていただきます。
【診察】
待ち時間の短縮のために、多くの応援医師に外来をお願いしました。土曜日に関しては1年間を通して、毎週2診体制で外来を行いました。ただ、初診の方が短時間に集中して来院される場合、お一人の方で20~30分程度相談される方もいらっしゃる場合などは、どうしても遅れが生じます。時々、もっと考えた方が良いと、いろいろ診察室で叱責と共にお話しされる方がいますが、実際にするとなると提案して頂いた新たな方法でも問題があることが大半です。画期的な解決方法はないと思います。
応援医師について、他の医師が診察することで、院長では気づかなかった病気が見つかることもあります。そのため、診断や治療に悩む患者さんについて、該当疾患を専門とする応援医師の診察日に再診して頂いたり、応援医師の診察日と患者さんの都合が合わない場合は、応援医師が来院日にカルテや画像を見て頂き、可能な範囲で判断して頂くこともしております。
当院から手術のために、応援医師が勤務する病院へ紹介、術後に当院でリハビリと循環もあります。応援医師が自分で手術するために、本来の勤務病院へ紹介する患者さんは、年間50人程度になると思います。
【検査】
当院では、身体検査に加えて単純レントゲン検査、MR検査、超音波検査(エコー)、骨密度検査などを行っています。2025年、MR検査件数は減少、超音波検査は増加、骨密度検査は増加しました。MR検査は、放射線技師のお休みなどで撮影枠を調整させて頂いています。ご迷惑をお掛けしますが、ご理解ください。また、貴重な検査枠です。連絡もないまま受診されない方も時々いらっしゃいます。当院では、緊急性の高い患者さんには、放射線技師に残ってもらい、本来の時間ではない時間で撮影も行っています。撮影枠が空いている一方で、技師が本来の勤務時間外に撮影している現状がありますので、ご協力お願いいたします。骨密度検査は、治療患者さんの増加や骨折歴がある患者さんへ検査を勧めていることなどから増加しています。
【治療】
ここでは、重症骨粗しょう症に絞って記載します。学術的な“重症骨粗しょう症”の定義は、2024年に米国骨代謝学会などが提言した概念に基づき、大きく変わっています。簡単に言えば、①2回以上の骨折歴や2年以内の大腿骨骨折か背骨の骨折、②2年以上前の骨折歴で骨密度が少し低い、2年以上前の大腿骨骨折か背骨の骨折、③骨折歴がなく、2年以上前の骨密度がそれなりに低い、の3つが重症骨粗しょう症になります。ただ、健康保険が“重症骨粗しょう症用の治療薬”を使用することを認める定義は、学術の定義とは若干異なります。当院では、現在使用できる、“重症骨粗しょう症用の治療薬”の全てを使用することが可能です。薬剤の特性・費用などがありますので、個々の患者さんへ最善の治療薬を提案します。
さて、この1年で患者さんから何度も聞いたことで気になることがあります。それは、“重症骨粗しょう症用の治療薬”を使用している患者さんから、「知人が、治療をやめても骨折していない」、という趣旨の内容です。そういった発言が聞かれる場合、そもそも目の前の患者さん自身が治療をしたくなく、治療しないことを正当化したいという気持ちがあるのだと思います。“重症骨粗しょう症の患者さん”でも、1年でみれば骨折する可能性より骨折しない可能性の方が高いです。例えば、背骨の骨折は、“繰り返し骨折”、“骨折のドミノ”、“骨折の連鎖”などという言葉が作られ、何度も骨折しやすいことが骨粗しょう症専門医の中では常識です。具体的には、背骨を骨折した患者さんは、1年以内に4人に1人が次の背骨の骨折をすることが知られています。専門の医師なら、これは、“すごい高確率”と考えます。ただ、1年以内に骨折する可能性を、“4人に3人は骨折しない”、と言われればその通りです。
話をもう少し違うことで理解をして頂ければと思います。皆さん、飲酒運転はどう思いますか?法律でも厳しく取り締まっており、現在の社会通念に照らせば、断じて許さることではありません。では、どうして飲酒運転はダメなのでしょうか?それは事故を起こす可能性が高いからですよね。ただ、飲酒運転をしたら、必ず事故を起こすわけではありません(当然ですが、飲酒運転を許容しているわけではありません。院長は2006年に起こった福岡海の中道大橋飲酒運転事故を特に許しがたい悲惨な事故として覚えています。当時のニュース報道で、必死に子供を救出しようとしている母親の様子がありました。母親、残念ながら死亡した夫、お子さん、その関係者のことを思うと胸が張り裂けんばかりの気持ちになりました)。飲酒運転は、確率的に事故を起こす可能性が高く、事故の規模も大きくなるので、止めましょう、となっています。
話を骨粗しょう症に戻します。治療をやめた方が、必ず骨折するかはわかりません。ただ、特に、“重症骨粗しょう症”の患者さんは、骨折しやすい訳ですから、治療を中断している患者さんグループと続けている患者さんグループ、集団で、かつ、長期間比較すれば、その際が出るのは当然です。また、治療の効果は残念ながら一過性です。どうして?、と思うかもしれません。例えば、高血圧の人が、治療すれば血圧は下がります。ただ、止めれば一定の時間がたてば、高血圧になります。また、時間が経過すれば、血管の状態は加齢の変化も加わり、さらに悪くなります。小学1年生の時に、お薬を常時使用している人は少ないのに、60年後の同窓会では、多くの人がお薬を使用しているのは、加齢性の変化が体の中に起こってしまうからです。小学1年生の時に病気を見逃していたわけではありません。若返り薬があれば、70歳の体を10歳に戻すこともできるでしょう。そうなれれば、数十年は薬のない生活を起こることができます。そして、また加齢性の変化が蓄積すれば、再度、若返り薬を使用するという循環で、お薬から離れられる生活が送れるでしょう。ただ、残念なのは、今、この時点では若返り薬がないことです。
“重症骨粗しょう症”の患者さんの骨折予防は社会全体で見たときにも大きな課題です。特に大腿骨骨折はリハビリをしても、元に戻ることが難しいことが多くあります。そして、大腿骨骨折により、以前よりバランスが悪くなった患者さんが、反対側の大腿骨骨折をすることも重要な課題です。今後も、“重症骨粗しょう症”には特に丁寧な説明を心がけ、骨折予防に努めたいと思います。
【リハビリ】
治療の一環ではありますが、話が長くなったので、別項を設けて記載します。現在当院には、理学療法士と作業療法士が在籍しています。勉強意欲が高い職員さんばかりです。学会参加や勉強会への参加もしております。今後も地域への勉強会の参加などを行って、知識が高められればと思います。また、機会を使用したリハビリについても、リハビリスタッフの取り組みを充実させていきたいと思います。
【交通事故】
当院では、健康保険の患者さん、労働災害の患者さん、交通事故の患者さん(自賠責)と3種類の保険治療をしています。交通事故の患者さんに関して、しばしば、後遺症が残る患者さんに関して、希望に応じて診断書を作成しています。自賠責保険はルールが複雑で、医師も十分にルールを習うことがなく、治療はするけど、患者さんの補償という面では知らないことが多数あります。例えば、後遺症がどのような患者さんが該当する可能性があるのか、現実と大きくずれているために、患者さんに不利益が生じている場合もあります。院長は様々な機会で勉強をしています。特に、機会があれば弁護士さんにも適宜ルールを確認しています。様々な積み重ねの結果、後遺症診断書を作成した3-4割程度の患者さんが後遺症認定をしていると思います。
【紹介状】
当院では、できるだけ紹介状を作成したり、紹介状に対する返書を作成しています。紹介状作成件数は、700通程度と、例年と同程度でした。
【研究】
開業前は、年に2-3回学会参加し、5題程度発表していました。開業後は、休診にすると皆さんに迷惑をかけることから、ほとんど参加していませんでした。2025年には三重県で学会が開催され、診療に影響のない日程でしたので参加しました。この学会では、ランチョンセミナーを2日連続担当させて頂き、一つのシンポジウムの構成・運営・発表、1題の発表と、学会を通して4回の発表の機会がありました。過去に、一つの学会で3回の発表は何度もありましたが、4回は初めてで準備の大変さもありましたが、充実感もありました。
また、論文発表も行いました。今年は和文1つが掲載されました。その他、多施設共同研究に協力し、その英語論文は現在投稿中です。また、院長自身が筆頭著者の多施設共同研究の英語論文も投稿中です。
年末は年1回の点滴で治療する薬剤について、患者さんの治療継続率を調べていました。初回投与から3年経過した患者さんの治療継続率が約50%でした。これを多いと思うか少ないと思うかは、個人の感想になりますが、一般に、骨粗しょう症の治療開始1年継続率は50%としかないことを勘案すると、様々な要因があるにせよ、比較的良好な継続率と考えられました。
講演会の演者依頼も例年通り頂きました。今年は10回程度の発表でした。ほとんどが、Webや桑名市・四日市市の会場でしたが、遠い所では静岡県富士市に日帰りで伺いました。小旅行というほどの時間はありませんが(移動→発表→移動)、気分転換になります。また、岐阜県でも講演会を行いました。
【院内設備】
開院して8年目に入りました。超音波機器の導入など、可能な範囲で新しい機器を導入しています。その一方、いくつかの機械には経年的な劣化が来ています。適宜修繕していますが、修繕しきれない所もあります。コロナ・マイナンバーカードなど、開業時とは社会情勢が異なってきています。今後は、皆さまのニーズに合わせて様々な変更があると思います。画像検査機器・電子カルテ及び予約システム・リハビリ機器など更新時期を迎えてきています。社会情勢に合わせたより良いサービスが必要ですので、予算が許す範囲で変更していきたいと思います。
今後も、より良い医療を提供できるように改善をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
