院長の論文が整形外科向け専門誌に掲載されました

ブログ 2022年8月7日

院長は日々の診療も大切にしていますが、研究や発表、も熱心に行っています。研究の成果を伝えることは医療水準の向上につながりますので、論文作成や学会発表、講演会活動も行っています。今回、骨粗しょう症治療薬であるテリパラチド週2回製剤の治療成績についてまとめ論文としました。過去に行われた臨床試験と同様に良好な治療成績でした。

当院では重症の骨粗しょう症の方には、重症者向けの骨粗しょう症薬(注射薬)を勧めています。一方、軽症者には内服薬を勧めています。評価したものの、幸い治療の対象外の方には、それぞれの年齢や状態を勘案して次回の評価時期を伝えています。

重症者向けの薬剤は、現在4種類あり、3種類がテリパラチドというグループの薬、もう一つが抗スクレロスチン抗体と呼ばれる薬です。重症骨粗しょう症治療薬は、いずれも注射製剤で、なおかつ高価です。これらのお薬は内服薬などと異なり、効果・効能(いわゆる適応症)も“骨折のリスクの高い骨粗鬆症(いわゆる重症骨粗しょう症)”となっています。

当院で注射薬を勧めた際に、注射薬でないとダメなのかという質問を頻回に頂きます。繰り返しになりますが、注射薬を勧める人は重症骨粗しょう症の人です。注射薬は内服薬より治療効果が高いため、注射の方が良いと説明しています。私自身も医師であるだけでなく人間ですので、内服の方が注射より良いですし、薬剤費も安い方が良いと思います。ただ、注射で高価になのに、薬が販売されている理由はどうしてだろう?と考えると、治療効果が高いということがご理解していただけると思います。治療効果の高く安価な内服薬が開発されれば、それより治療効果が劣る注射薬は販売しなくなると思います。

今回、論文のテーマになった薬剤は週2回自宅で行うタイプの自己注射製剤です。自己注射製剤は怖い、痛いと患者さんの評判は悪いですが、実際に開始した患者さんに伺うと、大半の方から“思っていたよりはるかに簡単だった”、と言われます。自己注射製剤は骨粗しょう症を熱心にしていれば、欠かせない治療選択肢の一つです。骨粗しょう症の診断や重症度判定は、問診、背骨のレントゲン検査、骨密度検査が欠かせません。こういった評価で、重症骨粗しょう症と診断された方には、注射製剤を含めた治療薬選択を相談しています。複数回の骨折をしている方などが主な対象者です。もしお困りの方がいらっしゃいましたら相談ください。