徐々に寒さが増し、特に朝は寒いですね。さて、院長である私は、この連休では東京で行われた骨粗しょう症の勉強会に参加しました。この勉強会では、国内外のエキスパートによる講演が多くありました。様々な観点からの発表があり、勉強になりました。内容のいくつか紹介すると、①2025年に改定された骨粗しょう症のガイドラインに関する解説、②Anabolic first(骨粗鬆症重症者には、まず骨形成促進剤というジャンルの注射薬を使用しましょうという考え方)、③簡易の骨粗しょう症に関する方法、骨折した人は将来骨折しやすいのですが、その予防の大切さや現状では対応(骨粗しょう症治療介入)が不十分であること、などです。従来から言われていることが多くありますが、最新のデータを交えながら解説して頂きました。
今更ですが、当院では骨粗しょう症治療を熱心にしています。どの病気でも言えますが、①診断、②治療、③治療効果判定や副作用確認、をします。骨粗しょう症治療効果判定の場合は、①骨密度変化が使用薬剤に対して想定される妥当な変化か、②血液検査や尿検査で行われる骨代謝マーカーの変化が使用薬剤に対して想定される妥当な変化か、③治療中に骨折が生じていないか、を見ていきます。
そのうち、今回は、骨代謝マーカーについて解説したいと思います。骨代謝マーカーは骨の代謝状況を調べる検査です。骨も絶えず新陳代謝をしていて、古くなった骨を壊して、新しい骨を作っています。私は道路工事に例えて患者さんに説明しています。道路では、古くなり痛んだ部分のアスファルトを剥がし、新しいアスファルトを張ります。骨も同じようなことをしており、簡単に言うと、壊れる量>作る量になると、骨が弱くなっていきます。この状況を調べるのが骨代謝マーカーで特に治療中の変化が見やすいのが特徴です。骨代謝マーカーの種類はいくつかあります。名前で言うと、P1NP、BAP、NTX、TRACP-5bなどが代表的なものです。私は、特にP1NPの研究を行ってきました。それぞれの骨代謝マーカーには特色があります。ただ、私の感想としては、P1NPは非常に優れた検査だと思います。骨代謝マーカーの変化は、使用する薬剤とその薬剤の使用時期によって変化が異なります(表1)。骨形成促進剤と言われるグループの薬剤は、変化量について薬剤により異なりますが、概ね6ヵ月程度は増加、ピークを迎え、その後、低下してきます。骨吸収抑制剤と呼ばれる薬剤グループは、基本的に低下します。骨吸収抑制剤を使用中の患者さんに、骨代謝マーカーに関して説明すると、しばしば混乱をされます。“低下して良いのですか?”、と。人間心理でしょうが、過去に何度も説明しているのに、初めて聞いたような反応をされることがしばしばあります。
表1

上述したように、骨粗しょう症治療効果判定の場合は、①骨密度変化が使用薬剤に対して想定される妥当な変化か、②血液検査や尿検査で行われる骨代謝マーカーの変化が使用薬剤に対して想定される妥当な変化か、③治療中に骨折が生じていないかです。検査には誤差があります。当院では、全身の筋力を反映する一つの指標である握力測定を時々させていただいています。握力も2回連続で測定をすると、たいていの場合は1回目と2回目は違う結果になります。骨密度検査も、治療の効果で上がる分より、検査誤差で変動する分の方が多い場合すらあります(そのため骨密度検査は複数回で評価することが基本になります)。各検査の特徴を知りながら、治療効果や副作用確認をすることは大切です。
また、こういった情報発信をさせていただきます。よろしくお願いします。
