GWの真っただ中ですが、今日もいい天気ですね。朝夜は風が吹くと肌寒いですが、昼間は暑いくらいの天気です。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?院長である私は、用があり長時間電車に乗りました。東海道新幹線で東京駅まで行き、東北新幹線に乗りました。名古屋駅や東京駅ホームは大変な混雑で、乗降者に時間を要し、電車も遅延していました。ホーム上に、今回ほどの人がいることを経験したことがなく驚きました。東北新幹線は、東海道新幹線と異なり自由席もありました(東海道・山陽新幹線はピーク期間、のぞみは全席指定席になっています)。私は、東北新幹線の指定席予約ができずに、自由席で乗車しました。しかし、乗客が多すぎて、自由席には入りきらず、指定席の通路にまで立つ人が多くいました(JR側から、自由席車両だけでは収容できないので、指定席車両の通路に立っても構わないという趣旨のアナウンスがありました)。大変な混雑はテレビで見る光景でした。
電車移動が4時間ほどあるために、読書をしようと思いました。その際に、読書というかは微妙ですが、古典漫画を準備し読みました。そのうちの一つは落窪物語です。今回は、落窪物語についてご紹介します。落窪物語は、学生時代に古文で何度か試験で出題されましたが、どんな本なのか全く知りませんでした。今回、漫画で読み、ようやく概要が知れました。高校生の時に知っていた方がよかったなとも思いました。落窪物語は、継母にいじめられるヒロインの物語です。
まず、落窪物語の簡単な紹介からです。
床のくぼんだ「落窪の間」や物置部屋に追いやられ、味方は侍女一人だけ。継母にこき使われる孤独な娘は、どうやって幸せをつかむのか?
「落窪物語 (岩波文庫) 藤井 貞和より」
高貴な女性が住む部屋の名前を、女性の呼び名とすることがよくありました。物語は、継母に虐げられ、部屋や着るものも自身の娘たちとは異なり、みすぼらしいものを与えられ、それにもめげずに、数少ない味方に支えられ生活するヒロインである落窪のシンデレラストーリーを描いています。落窪の前に貴公子 右近の少将 道頼(右近の少将は官職です)が現れ、苦難を救ってもらいます。そして、道頼は継母に仕返しをして、最終的には継母や継母の言うことを信じていた実の父親に反省してもらうという流れです(このパラグラフは院長の解釈です)。
先ほど、シンデレラストーリーと書きましたが、あらすじはシンデレラと類似しています。落窪物語は10世紀に成立したと言われていますが、継母のいじめ問題は、ずいぶん昔からあったのですね。ただ、悲劇のヒーロー・ヒロインがどん底から這い上がる流れは、恐らく書物が成立する前から様々な形であったと思いますし、現在もドラマ、漫画などでこのパターンが数多くあると思います。社会生活の本質が垣間見えます。
落窪物語は、話も短く、登場人物が15名程度と比較的少ないです。私が古典の最高傑作の一つと信じている源氏物語は、登場人物500名とも言われますので、源氏物語に比べると人間関係も単純だと思います。今後、院内に書籍を並べる時もあると思います。古文が必要な受験生の方をはじめ、よろしければ手に取ってご覧ください。

漫画になるとわかりやすいです。ただ、慣れるまでは、登場人物の人間関係や漫画の顔が似ていてくべつがつけにくいです。
P.S.
もう一つ、和泉式部日記も読みました。こちらは、恋多き女と言われる主人公 和泉式部が、他界した恋人のことが忘れられずに、その弟と恋をする物語です。かなり過激な設定ですが、現代でもあり得る話ですね。
